中国の電気自動車(EV)用電池最大手であるContemporary Amperex Technology Co., Limited(CATL)の成長に陰りが見えている。2024年第1四半期の決算は、純利益が前年同期比でわずか7%増の約105億元(約2200億円)にとどまり、過去数年の急成長から一転、減速が鮮明となった。売上高も前年同期比で10%減の約797億元と、市場予想を下回る結果となった。
EV市場の減速が直撃
CATLの業績鈍化の最大の要因は、中国国内のEV販売の伸び悩みだ。中国政府によるEV購入補助金の縮小や、経済成長の減速を背景に、2024年に入ってからのEV販売台数は前年同期比で約20%増と、2023年の同40%増から鈍化している。これにより、CATLの主要顧客である中国のEVメーカーからの受注が減少し、同社の電池出荷量も伸び悩んでいる。
さらに、CATLは在庫の増加にも直面している。2023年末時点の在庫は約400億元に達し、過去最高を記録。これは、EV需要の変動に対応するため生産能力を拡大してきた結果だが、需要が予想ほど伸びず、在庫が積み上がっている。同社は在庫調整を進めているが、完全な解消には時間がかかるとみられる。
海外展開と新技術で打開へ
こうした状況を打破するため、CATLは海外市場への展開を加速している。特に、欧州ではドイツとハンガリーに工場を建設中で、2024年中に生産開始を予定している。また、米国市場では、フォード・モーターと提携し、米国内に電池工場を建設する計画を進めている。しかし、米中対立の激化や、米国政府のEV補助金の対象に中国製電池が含まれない可能性があるなど、不透明な要素も多い。
技術面では、CATLは次世代電池の開発に注力している。同社は2023年に、エネルギー密度が従来比で約40%向上した「コンデンスドバッテリー」を発表し、2024年中の量産開始を目指している。また、ナトリウムイオン電池の開発も進めており、低コストで安全性の高い電池として、EVだけでなく、エネルギー貯蔵システム(ESS)への応用も視野に入れている。
競争激化と利益率の低下
CATLは世界のEV電池市場で約37%のシェアを持ち、依然としてトップだが、競争は激化している。韓国のLGエナジーソリューションやサムスンSDI、日本のパナソニックなどが追い上げており、特にLGエナジーソリューションは、欧米市場で存在感を高めている。また、中国国内でも、BYDや中創新航(CALB)などの新興メーカーが台頭しており、価格競争が激しくなっている。
CATLの営業利益率は2024年第1四半期に10.2%と、前年同期の11.3%から低下した。これは、原材料価格の高騰や、競争激化による販売価格の低下が主因だ。同社は、規模の経済や生産効率の向上で利益率を維持しようとしているが、厳しい状況が続いている。
今後の見通し
アナリストの間では、CATLの2024年通年の純利益は前年比で10%程度の増加にとどまるとの予想が多く、成長率の鈍化は避けられないとの見方が支配的だ。しかし、長期的には、EV市場の拡大や、エネルギー貯蔵分野での需要増加が見込まれるため、CATLの成長ポテンシャルは依然として大きいと評価されている。
同社は、2024年5月に開催した株主総会で、今後の戦略として「グローバル化」「技術革新」「サプライチェーンの強化」の3点を掲げた。特に、サプライチェーンでは、リチウムやコバルトなどの重要鉱物の安定調達を目指し、鉱山への投資も積極的に行っている。CATLがこの難局を乗り越え、持続的な成長を実現できるかどうか、注目が集まっている。



