BYDの利益が半減、中国EV業界に淘汰の波
2025年にBYDがテスラを年間販売台数で上回り、中国EVの勢いを世界に示したが、足元では激しい値下げ競争が業績を圧迫している。BYDの直近四半期利益は前年同期比55%減に沈み、新興EVメーカーの破綻により約40万人のオーナーが修理もままならない「修理難民」と化している。海外メディアが報じた中国EV業界の消耗戦の実態を詳報する。
「決勝戦」に入った中国EV業界
2026年6月、中国・重慶で開かれた自動車サミットで、NIOの創業者兼CEOの李斌氏は「中国の自動車産業は最も残酷なフェーズに入った。決勝戦だ」と述べた。2025年にBYDがテスラを年間販売で上回り、世界最大のEV市場としての地位を確立したはずの中国だが、今や各社は利益を度外視した価格戦争の果てに淘汰の段階へ突入している。
中国乗用車市場情報聯席会(CPCA)のデータによると、2026年1〜5月の乗用車国内小売販売台数は前年同期比19.5%減。5月にはバッテリー式電気自動車(BEV)が新車販売の42.2%を占め、初めてガソリン・ディーゼル車を上回ったが、メーカー各社は昨年から激しい価格競争を繰り広げている。
BYDの値下げ攻勢と利益率の低下
フォーチュンが2025年5月に報じたところでは、BYDは国内販売のEVとプラグインハイブリッド(PHEV)の22車種を対象に大幅な値下げを発表。最廉価モデル「シーガル」はさらに20%引きの5万5800元(約132万9000円)に、PHEV「シール07 DM-i」は34%引きの10万2800元(約244万9000円)にまで引き下げた。モルガン・スタンレーのアナリスト、ティム・シャオ氏は「消費者向け市場がいかに厳しいかを示す強いシグナルだ」と指摘した。
中国の自動車産業は2025年、過去最高となる11.2兆元(約266兆8000億円)の売上高を記録したが、利益はほとんど伸びていない。CPCAのデータによれば、業界売上高は前年比7.1%増だが、利益はわずか0.6%増の4610億元(約10兆9800億円)にとどまり、通年の利益率は4.1%、12月単月に至っては過去最低の1.8%に沈んだ。
新興EVメーカーの破綻と40万人の修理難民
値下げ競争のあおりで新興EVメーカーが相次ぎ破綻し、約40万人のオーナーが修理や部品調達が困難な「修理難民」となっている。EVメーカーの数は6年前の487社から130社に激減。かつてBYDに次ぐ2位だったメーカーも破綻し、修理すらままならない状況が広がっている。
中国政府はEV産業を支援する一方で、過剰競争を放置しており、ダブルスタンダードとの批判もある。1台売るごとに190万円超の赤字を抱えるメーカーも出ており、業界の持続可能性が問われている。



