中国の電気自動車(EV)大手比亜迪(BYD)は2024年の世界販売台数で、米テスラを上回る見通しだ。BYDの2024年1~11月の累計販売台数は約376万台で、前年同期比約40%増加した。一方、テスラの同期間の販売台数は約157万台で、伸び率は約3%にとどまっている。この結果、BYDは年間販売台数でテスラを逆転し、世界最大のEVメーカーとなる可能性が高い。
販売台数でテスラを逆転、背景に低価格戦略
BYDの急成長の背景には、低価格帯のEVを中心とした積極的な販売戦略がある。同社は「海鷗(シーガル)」や「秦プラス」などのコンパクトEVを2万~3万ドル(約300万~450万円)で投入し、中国国内市場で需要を開拓。さらに、東南アジアや欧州など海外市場への輸出も拡大しており、2024年の海外販売台数は約30万台に達する見込みだ。
一方、テスラは「モデル3」や「モデルY」の値下げを実施したが、競争激化や需要減退により販売の伸びが鈍化。特に中国市場ではBYDとの価格競争が激しく、テスラのシェアは低下傾向にある。
収益性は悪化、補助金縮小や価格競争が影響
しかし、BYDの収益性は悪化している。2024年7~9月期の売上高は前年同期比約24%増の約2011億元(約4兆2000億円)だったが、純利益は約116億元(約2400億円)と、売上高の伸びに比べて低調だった。これは、中国国内でのEV補助金縮小や、メーカー間の価格競争激化が収益を圧迫しているためだ。
BYDの王伝福会長は「価格競争は今後も続く」と述べ、同社がコスト削減や生産効率化で対応する方針を示している。具体的には、自社開発の電池「ブレードバッテリー」の生産コスト低減や、スマート運転技術の搭載による付加価値向上を進める。
日欧メーカーへの影響、中国市場での競争激化
BYDの台頭は、日本や欧州の自動車メーカーにも影響を及ぼしている。特に中国市場では、日産自動車やフォルクスワーゲンなどが販売減に直面。中国汽車工業協会によると、2024年1~11月の中国市場での日本車メーカーの販売台数は前年同期比約15%減、欧州車メーカーは約10%減となった。
また、BYDは2024年に日本市場にも本格参入。小型EV「ドルフィン」や「ATTO 3」を投入し、2025年までに全国に100店舗以上を展開する計画だ。これにより、日本市場でも価格競争が激化する可能性がある。
今後の展望、持続可能な成長への課題
BYDは販売台数でテスラを上回ったものの、収益性の改善や海外市場でのブランド認知度向上が課題となる。特に欧州連合(EU)が中国製EVに対する追加関税の検討を進めており、輸出戦略に影響が出る可能性がある。
一方、テスラは2025年に低価格モデル「モデル2」の投入を計画しており、再び競争が激化すると予想される。業界関係者は「両社の競争はEV市場の成長を促進するが、中小メーカーは淘汰される可能性がある」と指摘する。



