AI(人工知能)は便利だが、あくまで道具にすぎない。回答には誤りもあり、「人間中心」の原則に立ち、何よりもまず自分で考える姿勢を身につけることが大切だ。
新学習指導要領の概要
中央教育審議会の部会が、2030年度から小中高校で実施する新学習指導要領の案を公表した。英語などの学習にAIを活用することを初めて示す一方、情報教育を拡充し、AIのリスクについてもリテラシーを高めるという。
1年間に学ぶ全体のコマ数は増やさず、他教科の授業時間を数%ずつ削ることで、情報教育の時間を確保する方針だ。
生徒のAI利用実態
生徒たちはすでに、自習の際、自分が書いた英作文の添削などにAIを活用している。高校生の6割、中学生の3割、小学生の1割は勉強に使っている。2割強は「AIが進化すれば勉強する必要はない」と調査に答えた。
学ぶことの意義さえ揺らぎかねず、極めて心配な状況だ。何でもAIに聞いたり、文章を書いてもらったりするようになれば、自分の頭で考えなくなり、思考力や表現力は身につかない。
学校で教えるべきこと
だからこそ学校では、AIの情報は手がかりにすぎないこと、その真偽の確認を含め、自分の思考を深めることが大切だということを教えてほしい。AIを利用するにあたって、その仕組みや正しい使い方を学ぶことが大切だ。
AIの普及で、SNS上の偽情報がより巧妙になっている。そのため情報教育では、情報の真偽を見極める力も育成するという。
ネット空間は、閲覧数が増えるほど投稿者に広告収入が入る「アテンション・エコノミー」が横行している。そのため、事実かどうかより、ウソでも注目を集めることが重視されがちだ。生徒たちにはまず、こうした実態を理解してもらうことが重要になろう。
教員育成と教材開発の課題
課題は、情報教育を担う教員の育成と教材の開発だ。中学校では現在、情報を扱っている「技術・家庭科」で技術を担当する教員の4人に1人は技術の教員免許を持っていない。その分を数学や理科の教員が特例的に指導するケースが多い。
文部科学省は、教員への研修を大幅に増やすとともに、授業で使える動画教材を開発する方針だ。情報やAIに精通した外部人材とも連携し、充実した指導に結びつけてもらいたい。
AIは進化のスピードが速い。国は、授業に最新の知見を生かせるよう、教員研修や教材の中身を随時更新する必要がある。



