JR東海は16日、東海道・山陽新幹線においてN700S以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両「S0系」の製作を決定したと発表した。2029年7月の営業運転開始を予定している。
自動運転システムと地震検知の高速化
新型車両S0系は、これまで積み上げてきた技術開発の成果を取り入れ、運転士が運転室に乗務する自動運転システム(GOA2)を搭載するほか、安全性、利便性・快適性、環境性能がさらに向上。N700Sと同様、さまざまな両数の編成構成を容易に実現できる「標準車両」としている。名称は、現行のN700系シリーズを超える革新的な車両として、東海道・山陽新幹線の新たな進化の基点を表す「0」に「S」(Shinkansen、Supreme)を冠し、S0系とした。
自動運転システム(GOA2)は、高速・大容量通信が可能なミリ波列車無線から受信したダイヤ情報等をもとに、省エネ運転となるような計画速度を設定。ボタン押下により、出発した後、設定した計画速度に従って自動で走行し、定時到着・定位置停止を実現する。走行中に急遽の徐行等が発生した場合も、ミリ波列車無線から受信した最新の情報をもとに計画速度を自動で更新し、回復運転を行うことで、列車の遅れを最小化するという。
ミリ波列車無線による早期地震検知システムも導入。これにより、地震検知からブレーキ開始までの時間を10分の1程度に短縮する。ブレーキ制御も改良しており、N700Sとの比較で地震時のブレーキ距離を約5%短縮するとのこと。
車内設備の充実と快適性向上
車内設備は昨今の多様なニーズを踏まえ、グリーン車に2タイプの座席(多機能アームレスト座席・パーティション座席)を用意。9号車デッキ部にパウダーコーナーを新設し、無料Wi-Fiサービスを拡充するなど通信の安定性をさらに改善する。フルアクティブダンパの制振制御を改良して乗り心地の向上を図るほか、座席のリクライニング可能角度を調整し、跳ね上げ式フットレストを採用することで、足もとスペースを拡大する。
デッキ部の荷物置場は、大きな荷物を持って新幹線を利用する人が増えたことを受け、これまでの6カ所から9カ所に増設。客室内の荷棚スペースも拡大する。デッキのレイアウトを刷新し、女性専用トイレのスペースを拡大するほか、室内にベビーベッドを新設。男性専用トイレの引戸化、洗面所の間口拡大なども実施する。
8~10号車に5G対応透明ガラスアンテナを搭載し、より安定した通信を実現するという。
環境性能の向上と投入計画
環境性能に関して、S0系では新たな先頭形状「ツイン リーメクス形」を採用しており、空気抵抗を低減。自動運転や効率的な機器の搭載により、N700Sとの比較で編成全体の消費電力量を約6%削減するという。新幹線車両で使用されていたアルミ部材をリサイクルした「再生アルミ部材」の使用範囲も拡大され、車両の構体における使用割合を約20%に高めるとのこと。車体素材のほぼすべてをリサイクル可能なアルミ部材に統一することで、水平リサイクルを推進し、環境負荷を低減するとしている。
新型車両S0系は2029年度に8編成、2030年度に7編成、2031年度に7編成、2030年度上期に3編成、合計25編成の投入を計画している(2032年度下期以降の投入予定は未定)。これに先立ち、2028年8月に確認試験車を1編成導入する。