DNAのメチル化状態から年齢を推定する「DNAメチル化時計」について、実年齢とのずれが健康指標と関連することが研究で示されている。大阪大学名誉教授の仲野徹氏が、その仕組みと可能性を解説する。
実年齢とのずれが示すもの
年齢を測る方法は、本人に尋ねるか戸籍を確認すれば済むが、DNAメチル化時計による年齢と実年齢のずれには意味があるという。複数の研究で、このずれが死亡率や心血管疾患、認知症、フレイル(筋肉の衰え)と相関することがわかっている。
メチル化時計で推定された年齢が実年齢より若ければ病気になりにくいとされ、メチル化時計の精度に注目が集まる。
時計を遅らせる介入はまだ見つからず
次の関心は、薬剤や生活習慣の改善によってメチル化時計の進行を遅らせたり、巻き戻したりできるかどうかだ。これまでに運動、地中海食、カロリー制限、寿命延長が期待される薬剤などが試されたが、現時点で確実にメチル化時計を遅らせるものは見つかっていない。
たとえ遅らせる方法が見つかっても、メチル化時計が刻まれるメカニズムが解明されていないため、本当に若返ったと判断できるかは不明である。現状ではメチル化時計に頼るしかないが、その限界も認識しておく必要がある。



