ランサムウェア攻撃が猛威を振るい、国内でも名だたる大企業が被害に遭っている。万一の侵害時にも事業を継続し対外的な説明責任を果たすためには、証拠保全やフォレンジック調査を組み込んだサイバーレジリエンスの確立が不可欠だ。
デジタルデータフォレンジックの伊藤義明氏(エンジニアリング部 部長)と、同社フォレンジクス事業部 部長の藤田明氏の知見を基に、サイバーレジリエンスの最適解をQ&A形式で解説する。
DX推進でアタックサーフェスが拡大
Q. ランサムウェア攻撃を100%防ぐことが困難な背景とは何ですか。
A. 現代のIT環境はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴うクラウドサービスの利用やシステム連携の拡大によって、攻撃対象領域(アタックサーフェス)が著しく広がっていることです。
さらに、攻撃者側も認証情報の悪用やAIを利用した手法の高度化を進めており、従来の多層防御だけでは侵入を完全に防ぐことが不可能です。近年はデータを暗号化せず機密情報を窃取して脅迫する「ノーウェアランサム」や、長期休暇中に実行される攻撃も増加しており、被害発生時の事後対応を含めた「サイバーレジリエンス」の重要性が一層高まっています。
証拠保全実施で正確な情報開示と原因究明
Q. 感染発覚時の初動において「証拠保全」が不可欠な理由は何ですか。
A. 被害発生時にシステムの早期復旧のみを優先して証拠を破壊してしまいますと、攻撃経路や影響範囲を特定できなくなる恐れがあるためです。
企業は取引先や関係者への被害拡大を防ぐ役割があり、個人情報漏えい時には法令に基づく報告・通知の義務も発生します。攻撃の痕跡を残す「証拠保全」を実施することで、正確な情報開示と原因究明が可能となり、行政処分や社会的信頼の失墜といったリスクを回避して対外的な説明責任を果たすことができます。
フォレンジック調査がBCPと説明責任を支える理由
Q. フォレンジック調査が企業の事業継続(BCP)に与える影響とは何ですか。
A. フォレンジック調査は単なる原因調査にとどまらず、企業の監査や決算処理、法的な保全に直結します。
ランサムウェア攻撃では侵入から実行までに数週間が存在するため、調査によって侵入時期や影響範囲が特定できない場合、決算期に監査法人から指摘を受けて決算手続きが停止する事態に係るリスクがあります。正確な報告書を作成し、外部関係機関へ提示できるようにすることが、事業継続(BCP)を確実にする鍵となります。
休暇中も24時間365日体制で監視・対処
Q. 連休明けに急増するサイバー被害へどう備えるべきですか。
A. 外部のSOCや専門機関と連携するのが有効です。
デジタルデータソリューションによれば、お盆を挟む8月は7月と比較して相談件数が約1.5倍に跳ね上がります。こうしたリスクに対処するためには、休暇中も24時間365日体制で監視・対処できる外部のSOC(セキュリティオペレーションセンター)や、迅速にフォレンジック調査へ着手できる専門機関との事前連携ホットラインの確保が有効です。
緊急時は最速15分での初動Web待ち合わせ
Q. 一気通貫のサポートを提供する専門事業者の強みとは何ですか。
A. デジタルデータソリューションのような専門事業者は、100人規模のエンジニア体制を備え、緊急時の依頼断りを防ぎながら最速15分での初動Web待ち合わせといった迅速な対応を実現します。
事前予防(脆弱性診断やペネトレーションテスト)から、有事のフォレンジック調査、データ復旧(専用クリーンルーム保有)、再発防止策の提案までを一貫して自社内で対応できる点が強みであり、企業のサイバーレジリエンス強化を包括的に支援します。
サイバー攻撃を防ぐ「防御」の対策だけではなく、侵害された場合の「検知、対応、復旧、説明」までを一体としたサイバーレジリエンスの確立が、企業の信頼と事業を守り抜くための鍵です。有事の際に素早く証拠保全とフォレンジック調査を進められるよう、信頼できる外部専門機関との連携体制を今すぐ整備しましょう。



