パナソニックホールディングス(HD)のノートパソコン「レッツノート」が今年、発売30年を迎えた。電機大手ではパソコン事業の撤退・縮小が目立つ一方、パナソニックは軽量と頑丈さを売りに事業を継続してきた。ただ、パソコン市場では米中勢の存在感が大きく、事業規模を拡大できるかが課題となる。
発売から30年、強みは頑丈な設計
レッツノートは1996年6月に発売され、商品名には「かばんに収まるノートのように持ち運べるパソコン」という意味を込めた。特徴は、一般的な机の高さ(76センチ)から落としても壊れない頑丈な設計だ。天板には、車のボンネットのような凸凹を付けて強度を確保。電子部品を載せる基板は強く固定せず、外部からの衝撃が伝わりにくい構造にした。
販売は、企業など法人向けが主だ。パソコン事業を担うパナソニックコネクトによると、外回りの営業マンらが使う12型ノートパソコンの国内販売ではトップシェア(占有率)という。調査会社MM総研の中村成希・取締役研究部長は「軽量かつ頑丈さをアピールし、パソコンを持って動き回りたいという需要を取り込んでいる」と評価する。
国内シェアは1%にとどまる
だが、パソコン市場全体に目を転じると、存在感は薄い。MM総研によると、2025年度の国内出荷台数首位は中国レノボ・グループとNECの合弁会社で、シェアは29%に上った。米国系の日本HP(14%)、米デル(12%)などと続き、パナソニックは1%にとどまった。パナソニックが得意とする12型ノートパソコンの需要は限られ、主にオフィスで使われる15型以上のノートパソコンやデスクトップ型を扱っていないためだ。
パソコンは生産台数を増やし、コストを下げる「規模の経済」が働きやすく、価格競争が激しい。採算確保は容易ではなく、電機大手では、パソコン事業の撤退・縮小が広がっている。NECは11年、レノボと合弁会社を設立。富士通は18年にレノボとの合弁体制に移行し、いずれも出資比率の50%超をレノボが占める。ソニーは14年に事業から撤退し、東芝は18年、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のシャープに事業売却した。
今秋に新製品、海外展開も強化
一方、パナソニックは事業のてこ入れを図る。国内では今秋にも、レッツノートに画面が大きい13・3型の新製品を投入。レッツノートとは別ブランドで、より耐久性が高いノートパソコン「タフブック」を欧米の工場や建設現場向けなどに売り込み、海外展開も強化する。
レッツノートは神戸工場(神戸市西区)、タフブックは台湾の工場で生産されている。パナソニックコネクトの青木秀介執行役員は「自社で一貫してものづくりを行うことでニーズに応え、新しい付加価値に対応できる」と強調し、高性能化などで米中勢に対抗する構えだ。



