日本棋院は、全国800か所以上の碁会所や囲碁が打てる公共施設、囲碁イベントを網羅したスマートフォン向け無料アプリ「囲碁ベース」の提供を開始した。同棋院がこうした情報を集約したアプリを開発するのは初めて。競技人口の減少が続く囲碁界において、ファン増加を目指し、囲碁に打ち込める環境整備を狙う。
アプリ開発の背景と協力者
アプリは、日本棋院常務理事の関達也四段(36)がIT企業「スカイホビット」(東京)の越川康則社長(49)に相談し、製作された。さらに、囲碁インストラクターの小林隼太郎さん(32)が監修を務め、完成に至った。関四段は「普及活動をやりたい人たち向けに、まずは情報を発信できる枠組みを作ろうと思った」と語る。
碁会所情報の収集と検索機能
碁会所情報は、関四段が全国を巡って収集した。民間の碁会所に加え、囲碁が打てる公共施設も地図上で検索可能。住所を入力すれば最寄りの施設が表示される。また、囲碁イベントは大会や指導碁会、大盤解説会などの概要を調べられ、現在地からの距離や棋力(級位者・段位者)別に検索できる。
これらの情報は、碁会所の運営者やイベント企画者自身が登録することも可能で、常に最新の情報が反映される仕組みだ。
競技人口減少への打開策
関四段は、囲碁漫画『ヒカルの碁』をきっかけに囲碁を始め、地元・新潟市の碁会所で熱中。2006年にプロ入りし、2021年からは対局の合間に全国100か所以上の碁会所を訪問してきた。その経験から、「温かく迎えてくれた碁会所の経営者たちは高齢化が進んでおり、既存のコミュニティーが崩れつつある。情報が入手しにくい状況になっている」と指摘する。
越川社長も「これからの囲碁界は、棋力が低い人にも目を向けた普及をしないとファンは増えない」と述べ、初心者が手軽に情報を入手し参加しやすくなる仕組みの重要性を強調した。
囲碁人口の現状とアプリの展望
日本生産性本部のレジャー白書によると、2024年の囲碁人口は120万人で、10年前の2014年から半分以下に減少。インターネット対局が普及する一方、碁会所など対面で打つ場所を取り巻く環境は厳しさを増している。
アプリ名「囲碁ベース」について、関四段は「囲碁を楽しむ全てのベースになればという思いで名付けた」と説明。「新たな囲碁コミュニティーを作るために、情報発信ができるこのアプリは必要な基盤だ。囲碁情報をより可視化し、アプリから実際の参加につなげていきたい」と意気込みを語った。
アプリはQRコードからダウンロード可能で、今後も情報の充実が期待される。



