AIに選ばれ続ける道か、ファンに愛される道か 佐藤尚之氏が示す2ルート
AIに選ばれ続ける道か、ファンに愛される道か 佐藤尚之氏が示す2ルート

「肌に優しいランニングシューズはどれがいい?」――そう尋ねると、AIは数百ある商品の中から数ブランドの商品を推薦する。これまで当たり前だった、消費者が一つ一つの商品を比較し、企業の広告やWebサイトを見て購入検討を進める――といった購買行動は、AIの普及によって大きく変わろうとしている。

「AIに選ばれないと、商品は売れなくなっていく。そうなると仕事がなくなる可能性がある」

こう話すのは、ファンを基盤に中長期的な売り上げや価値の向上を目指す「ファンベース」の提唱者で、ファンベースカンパニー取締役会長の佐藤尚之(さとうなおゆき)氏だ。AIが購入の入り口になる時代に、企業はどう選ばれ、選ばれない場合はどう生き残る道があるのか。

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「選ばれる企業」と「選ばれない企業」、違いは? 「BtoA with C」の時代へ

佐藤氏が最初に示したのは、AIによる購買行動の変化だ。これまで企業は、広告やPR、SNSなどを通じて消費者に商品の情報を直接届けてきた。ところがAIが普及すると、消費者は企業から受け取った情報を自分で比較するのではなく、AIに「どれがいい?」と尋ねるようになる。

「消費者は肌に優しいランニングシューズの情報をいっぱい集めた上で『これとこれとこれだったら、どれがいいと思う?』なんて聞き方はしません。単純に『肌に優しいランニングシューズは、どれがいいと思う?』とAIに聞きます」

企業と消費者の間にAIが入り、AIが学習した情報を基に消費者に商品を推薦する――佐藤氏はこのような構造を「BtoA with C」と表現する。

BtoB事業でも状況は同じだという。担当者や決裁者がAIに相談し、これまで付き合いのあった企業ではなく、AIが推薦した別のベンダーを選ぶケースが増えていく。「今までお付き合いしてきたところとか、すごく営業が強いところとか、そういった要素はあまり関係なく、フラットに世界中からAIは学習しています」

AIが購入の入り口になれば、これまでのマーケティング手法も影響を受ける。佐藤氏は「間にAIが入るということは、従来のマーケティングは通用しなくなる。SNSも通用しなくなる」と話す。

300商品あっても、AIに選ばれるのは「3つ」だけ 企業は何をすべきか

では、AIに選ばれるために企業はどうすればいいのか。

佐藤氏が示すのは、まずAIの推薦枠に入ること。例えば「肌に優しいランニングシューズ」として300の商品が存在していても、AIが消費者に提示するのは数商品に限られる。

「300商品あると言っていて、実際に見えてくるのは3つ。つまり297は落ちたんです。私の目に触れません。3つだけが私の目に触れる」

実際に佐藤氏がChatGPT、Gemini、Claudeに同じ質問をしたところ、推薦されるブランドや商品には共通点がある一方、それぞれ異なる結果になったという。しかも推薦結果は時間とともに変化する。

AIの回答からは、従来のSEOのように明確なアルゴリズムが分かるわけではない。「アルゴリズムがブラックボックスすぎて、開発者もなぜAIがこれを選んできたかが分からない」。一度選ばれても、次に選ばれるとは限らない。

そこで重要になるのが、AIが理解できる形で企業や商品の情報を整えることだと佐藤氏は指摘する。

例えば「肌に優しい」という表現だけでは、どの程度優しいのかAIには判断しにくい。そこで、具体的な数値やエビデンスを示す。ブランドが積み重ねてきた知識や信頼も、AIが理解できるよう構造化していく必要があるという。

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AI時代に重要になる「レビュー」と「誠実さ」

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AIの回答だけで満足してそのまま離脱してしまう、いわゆる「ゼロクリック問題」が深刻化している。マーケターは今「AI対策」に躍起になっているが、その取り組みは本当に意味を成しているのだろうか。