2027年1月1日から始まる「こどもNISA」を前に、長期の資産形成でまず候補に挙がるのが「オルカン」(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))やS&P500連動ファンドといった定番のインデックスファンドだ。しかし、直近1年の実績を見ると、オルカンを10ポイント以上上回るリターンを記録したつみたて投資枠対象ファンドが複数存在する。上位には日本株やAI、高配当株など、特徴の異なるファンドが並んだ。
SBI証券投資情報部のシニア・ファンドアナリスト、川上雅人氏の解説をもとに、オルカンを大きく上回った7本のファンドとその特徴を紹介する。
オルカンを10ポイント以上上回ったファンドの選定基準
こどもNISAは0~17歳の未成年者を対象とした非課税の長期・積立投資制度で、2026年の税制改正により法制化された。対象商品はNISAの「つみたて投資枠」と同様、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定される。
今回は、SBI証券で取り扱いのあるNISA・つみたて投資枠対象ファンドの中から、オルカンの1年リターン(29.48%、2026年7月末基準)を10ポイント以上上回ったファンド(39.48%以上)を抽出した。同一の株価指数に連動を目指すインデックスファンドは最上位のみとし、該当する7本が選ばれた。
この1年間は、イラン紛争などを背景とした調整局面や、半導体関連株が大きく上昇した後に急落する場面もみられるなど、相場の値動きが比較的大きい期間だった。こうした振れ幅の大きい相場を経てもなお、オルカンを大きく上回るリターンを確保できたファンドには特徴がある。
好成績ファンド7本の特徴
1位は「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」。日経平均株価に連動するインデックスファンドで、大型グロース株の比重が高いカテゴリーに属する。日経平均は値がさ株の影響を受けやすい株価平均型の指数であり、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連株のウエイトが高い。1年標準偏差は31.74%と7本の中でも相対的に大きい。
2位は「DCつみたて アクティブ バリュー オープン(DCつみたてアクシア)」。割安と判断した企業に投資し、TOPIXを上回る投資成果を目指す国内株式アクティブファンドだ。組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、トヨタ自動車、ソニーグループ、東京海上ホールディングスなど。1年標準偏差は20.68%と7本の中では比較的抑えられており、3年リターンも27.57%と高い。
3位は「年金積立Jグロース(つみたてJグロース)」。成長が期待される企業を厳選し、TOPIXを上回る投資成果を目指す国内株式アクティブファンドだ。組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、日立製作所、東京エレクトロン、アドバンテストなど。2001年設定と7本の中でも運用期間が長い。
4位は「eMAXIS Slim 国内株式(読売333)」。読売株価指数(読売333)に連動するインデックスファンドで、構成する333銘柄をほぼ均等な比率で組み入れる「等ウエート型」の指数だ。時価総額加重型のTOPIXや値がさ株の影響を受けやすい日経平均とは異なり、特定の大型株に左右されにくい。2025年3月に設定されたばかりで、運用開始から3年に満たない。
リスクとリターンのバランスを考慮した運用を
5位は「イノベーション・インデックス・AI」。世界のAI関連株で構成される指数に連動するインデックスファンドで、組入上位銘柄はマイクロン・テクノロジー、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、ブロードコムなど。1年標準偏差は42.95%と7本の中で最も大きく、AI関連株への集中投資による値動きの大きさと高いリターンが表裏一体となっている。
6位は「ニッセイ日本株ファンド」。独自の運用モデルを活用し、TOPIXを上回る投資成果を目指す国内株式アクティブファンドだ。組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車、三菱商事、三井住友フィナンシャルグループ、日立製作所など。1年標準偏差は17.34%と7本の中で最も小さく、値動きを抑えながら高いリターンを実現した。
7位は「One高配当利回り厳選ジャパン」。配当利回りに加え、配当の持続性や成長性も重視して銘柄を厳選する国内株式アクティブファンドだ。組入上位銘柄は三井住友フィナンシャルグループ、東京海上ホールディングス、豊田通商、横浜ゴム、オリックスなど。3年リターンも26.49%と、直近1年の勢いだけでなく3年でも安定した実績を残している。
こどもNISAは非課税保有期間が無期限で、長期の資産形成を前提とした制度だ。人気ファンドであるオルカン1本という選択だけでなく、値動きや運用スタイルの異なるファンドを組み合わせることも選択肢の一つといえる。ただし、いずれも1年という短期間の実績である点には注意が必要で、eMAXIS Slim 国内株式(読売333)以外は、3年以上のパフォーマンスデータも確認することが有効だ。



