ワークマンのペルチェベストを体験 5秒で-5度、45度の酷暑でも使える仕組み
ワークマンのペルチェベストを体験 5秒で-5度、45度の酷暑でも使える仕組み

ワークマンが2026年に発売したペルチェ素子搭載の冷房服「ウィンドコアアイス×ヒーターペルチェベスト(以下、ペルチェベスト)」を実際に体験し、開発にあたってこだわった点を聞いた。

ペルチェ素子で-5度の冷却効果

ペルチェベストは、胸、背中、腰回りなどに当たるよう複数のペルチェ素子を備えており、着用して電源を入れるだけで冷却効果を得られる。ペルチェ素子を5個搭載した「ペルチェベストPro3」と、ペルチェ素子を7個搭載した「ペルチェベスト7個式スペシャルエディション」があり、価格は5個モデルが1万9800円、7個モデルが2万9800円だ。

ワークマンは2023年からペルチェベストを開発しており、2026年モデルは6〜7代目に当たる。初代モデルはペルチェ素子が1個だったが、最新モデルでは5〜7個に増加。また、従来品はステンレスのペルチェ素子を使っていたが、2026年モデルでは熱伝導率の高いグラファイトメタルを使用している。

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5秒で-5度、45度の酷暑に対応

こうした工夫により、2025年モデルの-3度から、2026年モデルは-5度まで冷却効果を高めている。25度の環境下でペルチェ素子のプレート部分が-5度まで下がるため、「環境温度差-30度」をうたっている。ワークマン広報部の小重小鈴氏は「5秒で-5度まで下がります」と速効性をアピールする。

ペルチェベストは45度という過酷な気温を想定して開発しているが、これはワークマン本社の所在地である群馬県伊勢崎市が、2025年に41度を記録したことも関係しているという。同社は、こうした過去の環境を見越して冷房ウェアの開発を進めている。35度まではファン付きウェアでも効果を発揮するが、35〜36度など体温を超える気温になると、単に熱い風を送るだけになってしまうので、触れた部位を直接冷やせるペルチェベストが有効だ。

バッテリーの安全性への配慮

ペルチェ素子を稼働させるためにモバイルバッテリーから電力を供給しているが、2026年モデルは専用バッテリーを採用している。ペルチェベストには2万mAhのモバイルバッテリーを使用し、USB Power Deliveryや最大出力22.5Wに対応している。ペルチェベストPro3はバッテリーを1つ、ペルチェベスト7個式スペシャルエディションはバッテリーを2つ使用する。

近年、モバイルバッテリーが発火する事例が頻発しているが、ペルチェベストは屋外の過酷な環境で着用するからこそ、バッテリーの安全性には最大限配慮している。ペルチェベスト用のモバイルバッテリーは、表面に穴の開いたザラッとした素材を用いることで、「直射日光が当たるタッチポイントが減り、熱を保有しにくい」(小重氏)効果がある。

2万mAhという大容量バッテリーながら、ベストのポケットに収まるコンパクトなサイズにも注力した。モバイルバッテリーを収納するポケットの素材にもこだわり、「XShelter(エックスシェルター)α」と呼ぶ断熱材を生産に用いた。このXShelter αは、「外気と衣服内温度を無効化する」(小重氏)ため、バッテリーの発熱を抑えられる。

モバイルバッテリーは4900円で単体販売もしており、スマートフォンの充電もできる。

ファン付きウェアとの使い分け

ペルチェベストと聞くと、保冷剤でもいいのでは? と思う人も多いかもしれないが、保冷剤は、朝冷凍庫から取り出したとしても、お昼には温かくなってしまう。職場に冷凍庫があれば通勤時と退勤時に利用できるが、冷凍庫に入れる手間が発生するし、長時間屋外で作業する使い方には向かない。ペルチェベストなら、バッテリーを充電できる環境があれば、外気温の影響を受けず、どこでも使用できるのがメリットとなる。

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なお、ワークマンはファン付きウェアも多数開発しているが、これはファンならではのメリットがあるため。ファンが体に直接送風するので、「汗をかいたときに風で乾燥でき、蒸れを流すならファン付きウェアの方が優れている」(小重氏)。

一方で、外気温の影響を受けやすいこと、かさばるので着用しながら作業しにくいことはデメリットだ。風で冷やすため、周囲の環境の影響も受けやすい。「例えばごみ収集車の作業員の方だと、ごみの匂いが風と共に入ってしまいます。また、粉じんが掛かると故障の原因にもなり、現場で制限されている場合もあります」と小重氏。

ワークマンは、ファン付きウェアとペルチェベストとの併用も推奨している。「ペルチェベストの上にファン付きウェアを着ると、風で吹くので、バッテリーの重さを感じにくくなります。相方のいいところ取りができるので、2つ同時に使うのもおすすめしています」(小重氏)

とはいえ、重ね着は重装備になるため、室内温度の高い工場や炎天下での作業など、特殊な用途向けとなる。

1万9800円〜2万9800円という金額は、ワークマンの製品では高額な部類で、「1着あたりの価格は、ワークマンの中では一番高いと思います」と小重氏。それでも、ペルチェベストは「7月以降時点で、1週間で1万5000個売れた」というほど好調だ。ワークマンの販売ランキングでも1〜2位で、浴服類よりも売れているという。背景に、2025年から法律で義務化された、業界の熱中症対策がある。

「今までは、デザインがカッコいいものが多く売れていましたが、法人でまとめて購入されることが増えました。ペルチェベストも、最近だと600着まとめて購入いただいたこともあります。そのときは道路関係のお仕事の業界でした」(小重氏)