夏休み宿題で子どもがAI使用、識者が語る適切な声かけと教育の未来
夏休み宿題のAI使用、識者が語る声かけと教育

夏休みを迎えた子どもたちにとって、作文や読書感想文などの宿題は大きな壁となる。そこに近年、強力な助っ人として生成AIが登場。子どもたちがAIに宿題を任せるケースが増えているが、これは賢い使い方なのか、それとも不正なのか。親としてどのように声をかけるべきか、識者に聞いた。

AI禁止は暴論、共に生きる道を選ぶ

薬学博士で脳研究者の池谷裕二氏(東京大学教授)は、自身にも中学2年と小学5年の娘がいる。以前は生成AIの使い方は高校生になってから教えればよいと考えていたが、長女が小学6年の時に「友だちはみんな卒業文集をChatGPTに書いてもらっている」と聞き、考えを改めたという。

池谷氏は「眼鏡を使うのは自然に反するとか、コートの着用禁止、クルマ利用禁止と言われたら暴論と驚くでしょう。生成AIも同じです。もう存在するのが当然で、禁止はできない。今後も消えることはありません。なかったことにして大昔に戻るのは暴論であり、絶対にできない。我々はともに生きていくしかないのです」と語る。

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「What」ではなく「How」を尋ねる

池谷氏は、禁止しても子どもたちは使うだろうと反省し、正しい使い方を教える必要性を痛感。娘には「AIに『What』(何?)を聞かず、『How』(どうやって?)と尋ねなさい」と伝えている。具体的には、「この問題の答えは何?」ではなく、「どうやって解き始めたらいいの?」「ここまで解けたけど、あとどうしたらいい?」と尋ねることを推奨。まず自力で取り組み、壁にぶつかった時にAIにヒントを求めるという方法だ。

読書感想文でも、まず自分で書き、その上でAIにも何パターンか書かせて比較することで、「こういう読み方があったのか」「このポイントはもっと深掘りできたんだ」と新たな気づきを得られると説明する。

丸投げは絶対にダメ、学びの拡張として

池谷氏は「学ぶ」という言葉が「まね」に由来すると指摘。従来は先生や親、友人の背中を見て育ってきたが、今は生成AIもその対象になったという。学べる相手や視点が増え、教育が拡大したことを「教育の危機」と捉えるのはもったいないと強調する。

一方で、宿題をAIに丸投げするのは絶対にダメだと警告。人は楽な方に流れやすいが、認知機能は筋肉と同じで、どれだけ苦労して鍛えたかが重要だと述べている。

教育の価値とAIの共存

池谷氏は、算数の計算ドリルなど反復練習の重要性も指摘。AIが答えを教えてくれる時代だからこそ、基礎的な思考力や忍耐力を養う学習の価値が改めて問われている。教育現場ではAIガイドラインの整備が進むが、家庭でのルール作りも急務だ。

池谷氏のメッセージは、AIを敵視するのではなく、学びの道具として賢く活用する姿勢の重要性を説いている。子どもたちがAIとどう向き合うかは、今後の教育の大きなテーマとなるだろう。

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