精神科医の益田裕介氏と博報堂メディア環境研究所所長の山本泰士氏が、AI依存による感情劣化の危険性について対談した。益田氏は、現代社会は「管理社会」の中に「原始社会」の要素が組み込まれており、歌舞伎町やSNSなど人間的な感情がむき出しになる場所も存在すると指摘。管理社会は没個性的で仕組まれているが餓死の危険はなく、原始社会は感情教育がしっかりしている反面、感情摩擦が多いと述べ、両方にメリットとデメリットがあると説明した。
子どもと一緒に家事をすることの重要性
山本氏が、双方のメリットを活かし、管理社会の中で原始社会的な経験を積む方法として、大人は家事や労働をAIで省力化し、子どもに向き合う時間をつくるのはどうかと質問。これに対し益田氏は「いや、むしろ子どもと一緒に家事をしたほうがいいですね」と答え、「楽しいことだけではなく、一緒に掃除したり、混んでいるところに出かけて待ったり、そういう苦労をあえてすることが大事です」と述べた。
益田氏は、面倒なことをすべてAIに任せて避けると、相手を思いやる力が低下し、その結果人間が理解できず騙されやすくなると警告。他人の嘘を見抜きにくくなり、自分の感情をコントロールできなくなると指摘した。また、スマホに夢中で親子の会話や遊び、けんかすらしていない場合、子どもの感情劣化は進んでいると警鐘を鳴らし、そこにAIの誘惑が加わればさらに進行すると述べた。その結果、いわゆる「コミュ障」や騙されやすい人が増えるとしている。



