京都賞に宮坂力氏ら3氏、ペロブスカイト太陽電池や微生物ループの研究を評価
京都賞に宮坂力氏ら3氏、ペロブスカイト太陽電池など評価

稲盛財団(京都市、金澤しのぶ理事長)は19日、2026年の京都賞を、次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を発明した桐蔭横浜大学特任教授の宮坂力氏(72)、海洋微生物の炭素循環における役割を解明した米カリフォルニア大学サンディエゴ校名誉教授のファルーク・アザム氏(85)、マルチメディアアーティストのローリー・アンダーソン氏(79)の3氏に贈ると発表した。

宮坂力氏:「先端技術部門」でペロブスカイト太陽電池の創成を評価

宮坂氏は「先端技術部門」での受賞で、授賞理由は「次世代太陽光発電技術『ペロブスカイト太陽電池』の創成」である。ペロブスカイトは結晶構造の一種で、帯電する性質を生かしコンデンサーやプリンターヘッドなどの電子デバイスに使われてきた。宮坂氏の研究グループは、ヨウ素や臭素から人工合成したペロブスカイトに光を吸収して電気に変換する性質があることを発見し、新概念の太陽電池として世界に先駆けて提唱した。

従来のシリコン太陽電池はパネル状で重く硬いが、ペロブスカイト太陽電池は薄く、軽く、柔軟に曲げられるため、次世代電源として常識を覆す可能性を持つ。宮坂氏は有害な鉛の使用による環境負荷の低減や、電池寿命の改善にも取り組み、世界のエネルギー問題解決に大きな影響を与えている。同氏は早稲田大学特命教授も務める。

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稲盛財団は「ペロブスカイト太陽電池の領域は、学術的深化を経て、持続可能な社会基盤を支える実用化段階へと進展しつつある」と評価した。

ファルーク・アザム氏:「基礎科学部門」で海洋微生物ループの解明

アザム氏は「基礎科学部門」での受賞で、授賞理由は「海洋生態系の炭素循環における『微生物ループ』の役割の解明」である。微生物ループとは、海洋や湖沼、河川の微生物が主役の食物連鎖を指す。従来、海洋の炭素循環はプランクトンを中心に考えられていたが、アザム氏の研究により、細菌や原生生物など微生物の重要な役割が明らかになった。

具体的には、植物プランクトンが排出した小さな有機物は生物に利用できないと考えられていたが、実は細菌がこれを餌とし、その細菌を原生動物が食べることで食物連鎖に戻ることが分かった。アザム氏は微生物が地球規模の炭素などの物質循環に果たす役割を解明し、海洋生態学や生物地球化学に決定的変革をもたらした。

稲盛財団は「海洋生態系における微生物の役割の解明は、海洋を中心とする水圏生態学の発展に大きく寄与した」と評価した。

ローリー・アンダーソン氏:「思想・芸術部門」でマルチメディアアートを確立

「思想・芸術部門」では、マルチメディアアーティストのローリー・アンダーソン氏が受賞した。授賞理由は「斬新なアイデアとユーモアをもってテクノロジーを駆使しながら、音楽、美術、映像などの領域を横断する活動を展開し、語る声、身体、電子メディアが一体となって提示される実験的かつポップな独自のマルチメディアパフォーマンスの表現を確立した」ことである。

授賞式は11月10日、賞金各1億円

京都賞は科学や文明の発展、人類の精神的深化・高揚に貢献した人物に贈られる賞で、今回で41回目となる。授賞式は11月10日に国立京都国際会館(京都市)で行われ、3氏にそれぞれ賞金1億円が贈られる。

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