政府がAI基本計画を改定、サイバー環境の激変に対応
政府は14日、人工知能(AI)に関する国家戦略「AI基本計画」の改定を閣議決定した。昨年の策定からわずか半年あまりでの改定は、米アンソロピック社の高性能AI「クロード・ミュトス」の登場など、サイバー環境が激変したことを受けたものだ。計画では、サイバー攻撃などのリスク対応を強化し、AI法を含む制度見直しや外国政府機関との連携を強める方針を明記した。
「クロード・ミュトス」登場で脅威が顕在化
今回の改定の背景には、米アンソロピック社が開発した「クロード・ミュトス」の出現がある。このAIはシステムの弱点を飛躍的に発見しやすくする能力を持ち、サイバー攻撃の脅威を現実のものとした。金融や重要インフラ分野での対策強化、政府の重要システムの点検が急きょ追加されるなど、日本政府は米企業の動きに後手に回る場面が相次いだ。
「AI主権」の確立を目指す
新計画では、特定の国や企業に依存せず、国内で研究・運用できる「AI主権」の確立を掲げた。日本の自律性と交渉力を高めることが重要だとし、外国政府機関との連携も強化する方針だ。政府は「AIトランスフォーメーション(AX)」を推進し、AIを前提とした意思決定や業務の進め方を見直すとともに、関連産業構造の構築や人材育成に取り組むとしている。
「バーティカルAI」と「フィジカルAI」に重点
日本の「勝ち筋」として、医療や産業など分野特化型の「バーティカルAI」と、ロボットや自動運転など現実世界で動作する「フィジカルAI」に戦略の重点を置くことを明記。政府が6月に公表した「日本成長戦略」では、2040年度までに官民でバーティカルAIに23.1兆円、フィジカルAIに10.5兆円の投資を想定している。
投資額で米国に大きく後れ
一方、米スタンフォード大学の調査によると、2025年の日本のAI分野への民間投資額は11.1億ドルで世界14位。トップの米国は2859億ドルで、日本はその200分の1以下にとどまる。小野田紀美AI担当相は「日本がAI分野で国際競争力を維持するには、官民挙げた大規模投資が不可欠だ」と述べている。



