政府、AI基本法の制定へ 国際競争力強化とリスク対策を両立
政府、AI基本法制定へ 競争力とリスク対策両立

政府は、人工知能(AI)の開発・利用を促進するとともに、そのリスクに対処するための包括的な法律「AI基本法」の制定に向け、有識者会議を設置する方針を固めた。複数の政府関係者が明らかにした。年内にも議論を開始し、2027年の通常国会への法案提出を目指す。

AI基本法の目的と背景

AI基本法は、AI技術の急速な進展に伴い、経済成長や社会課題の解決にAIを活用する一方で、プライバシー侵害や差別、雇用への影響などのリスクに備えることを目的とする。政府は、欧州連合(EU)が2024年に施行した「AI規制法」や、米国・中国などの動向を踏まえ、国際的なルール作りを主導したい考えだ。

有識者会議は、AIの専門家や法学者、産業界の代表らで構成され、具体的な規制の対象や範囲、罰則のあり方などを議論する。政府は、AIの開発・利用に関する基本原則を定めるとともに、リスクの高いAIシステムに対する規制を検討する。

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国際競争力の強化

政府は、AI基本法の制定により、日本企業のAI開発・利用を後押しし、国際競争力を強化したい考えだ。EUのAI規制法は、リスクベースのアプローチを採用し、高リスクAIに厳しい規制を課す一方、低リスクAIには規制を緩和する。日本も同様の枠組みを検討するが、過度な規制がイノベーションを阻害しないよう、バランスに配慮する必要がある。

政府関係者は「AIは経済成長の鍵であり、規制強化で開発が遅れれば、国際競争に負ける可能性がある」と指摘する。一方で、利用者の信頼を得るためには、リスクへの適切な対応が不可欠とされる。

リスク対策と社会的受容

AIのリスクとしては、誤った情報の拡散、個人情報の不正利用、アルゴリズムによる差別、雇用の喪失などが挙げられる。政府は、これらのリスクに対処するため、AIシステムの透明性や説明責任の確保、人権尊重の義務付けなどを検討する。

また、AIの開発・利用に関するガイドラインを策定し、企業の自主的な取り組みを促す。罰則については、悪質なケースに限定し、過度な抑止力にならないよう調整する方針だ。

有識者会議のメンバーからは「AI基本法は、社会の安心と技術革新の両立を図る上で重要だ」との声が上がっている。一方で、業界団体からは「規制の内容次第では、スタートアップの参入障壁が高まる」との懸念も出ている。

今後のスケジュール

政府は、年内に有識者会議を立ち上げ、2025年中に中間報告をまとめる。その後、パブリックコメントを経て、2026年夏までに最終報告をとりまとめ、2027年の通常国会への法案提出を目指す。法案が成立すれば、公布から1年以内に施行される見通しだ。

AI基本法は、日本のAI政策の根幹をなす法律となる。その成否は、日本のAI産業の将来を左右するだけでなく、国際社会における日本のプレゼンスにも影響を与える。政府は、慎重かつ迅速な議論を進める方針だ。

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