国産AI(人工知能)基盤モデルを開発する国主導の新会社「ノエトラ」への出資企業が44社に上ることが16日、明らかになった。電機・IT、鉄鋼、建設、化学、製薬、物流などの大手企業が名を連ね、様々な業種のデータを取り入れた基盤づくりを目指す。政府は、ノエトラが手がける基盤をもとに、ロボットや工場を自律的に動かす「フィジカルAI」の分野に各社が進出することを期待している。
エヌビディアCEOがスピーチ、技術面で深く関与
16日に東京都内で開かれた政府主催のイベントでは、赤沢亮正経済産業相のほか、ソフトバンクやソニーグループ、ホンダ、NECなどの社長が登壇。その中で異彩を放ったのが、米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)だ。ノエトラの丹波広寅社長らより先にあいさつに立ち、「日本は、日本のAIを構築しなければならない」とスピーチした。基盤開発に必要なGPU(画像処理装置)などでは、最先端の知見を持つエヌビディアが大きな役割を担うとみられる。
フィジカルAIで差別化、政府の期待
政府は、ノエトラの基盤を活用し、日本企業がフィジカルAI分野で競争力を高めることを期待する。フィジカルAIは、ロボットや工場設備を自律的に制御する技術で、製造業や物流業などでの応用が見込まれる。ノエトラには、電機・IT企業だけでなく、鉄鋼や建設、化学、製薬、物流など幅広い業種から出資が集まっており、多様なデータを統合したAI基盤の構築が進む見通しだ。
課題は国内完結の難しさ
旗振り役は日本政府や日本の大手企業だが、すべてを国内で完結させるのは難しい。最先端のGPUやAI技術ではエヌビディアへの依存が避けられず、同社の協力が不可欠だ。先端技術に詳しい三菱総合研究所の専門家は「日本のAI開発には、エヌビディアのようなグローバル企業との連携が重要だ」と指摘する。ノエトラの成功は、日本がAI分野で国際競争力を維持できるかどうかの試金石となる。



