政府は20日、人工知能(AI)の開発・利用に関する基本法を閣議決定した。年内の施行を目指し、規制と活用の両立を図る。同法は、AIの倫理原則や政府の責務を定め、事業者には透明性確保などの努力義務を課す。罰則は設けず、自主的な取り組みを促す内容となっている。
基本法の概要と背景
基本法は、AIの社会実装が急速に進む中、国民の安全やプライバシー保護を確保するため、政府が初めて包括的な法律を整備するもの。法案は今国会に提出され、成立後1年以内に施行される見通し。政府は、AIの活用による経済成長と、リスクへの対応を両立させる「人間中心のAI社会」を目指すとしている。
法案では、AIの開発・利用に関する基本理念として、人間の尊厳の尊重、公正性の確保、透明性の向上などを掲げる。政府は、AI政策の司令塔として「AI戦略本部」を設置し、関係省庁の連携を強化する。また、AIに関する国際的なルール作りにも積極的に参加する方針。
事業者の責務と規制の在り方
事業者に対しては、AIの利用に伴うリスクの評価と低減、利用者への適切な情報提供、AIの判断結果の説明可能性の確保などが努力義務として課される。一方、罰則は設けず、業界の自主規制を促進する形をとる。政府は、過度な規制がイノベーションを阻害しないよう配慮したと説明している。
専門家からは「罰則がないため実効性に疑問がある」との指摘もあるが、政府関係者は「まずは自主的な取り組みを促し、必要に応じて規制を強化する段階的なアプローチが適切」と述べている。
今後のスケジュールと課題
政府は、基本法の成立後、年内にも「AI戦略本部」を立ち上げ、具体的な行動計画を策定する方針。また、2027年度までにAI関連の市場規模を現在の約2倍の20兆円に拡大する目標を掲げている。一方で、AIによる雇用への影響や、生成AIの著作権問題など、個別の課題については今後の検討課題とされた。



