NTTドコモは、2030年代の実用化が期待される第6世代移動通信システム(6G)に向けて、人工知能(AI)が無線リソースを動的に制御する超高速無線通信技術を開発したと発表した。実証実験では、10ギガビット毎秒(Gbps)を超える伝送速度を達成し、従来の5Gを大幅に上回る性能を確認した。
AIが無線リソースを最適制御、周波数利用効率を向上
新技術は、AIが電波環境やトラフィック状況をリアルタイムに分析し、複数のアンテナや周波数帯を最適に組み合わせることで、限られた周波数資源を最大限に活用する。具体的には、AIがユーザーの位置や通信品質、基地局の負荷などを学習し、ビームフォーミングや変調方式、周波数割り当てを動的に制御。これにより、従来の固定制御方式と比べて周波数利用効率が約1.5倍向上したとしている。
実証実験で10Gbps超、6Gの要求性能をクリア
NTTドコモは、同社の横須賀研究所(神奈川県横須賀市)で実証実験を実施。AI制御による超高速通信システムを用いて、10Gbpsを超えるダウンリンク伝送速度を達成した。これは、国際電気通信連合(ITU)が6Gに求めるピークデータレートの目標値(100Gbps)には及ばないものの、実環境での高速通信の可能性を示す成果と評価される。同社の研究開発担当者は「AI制御により、将来的に100Gbps超の実現も視野に入る」と述べている。
2030年代の実用化目指し、標準化活動も加速
NTTドコモは、今回の技術を2030年代の6G実用化に向けた基盤技術と位置づけ、今後は実証規模の拡大やAIアルゴリズムの高度化を進める方針。また、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)などの国際標準化団体での提案活動も加速し、6Gの標準仕様策定に貢献していく考えだ。同社は「AIと無線技術の融合で、超低遅延・大容量・高信頼な6Gネットワークの実現を目指す」とコメントしている。
6Gの将来像:AIと通信の融合が鍵
6Gは、5Gの進化版として、さらなる高速・大容量通信に加え、AIやセンシング機能の統合が期待される。NTTドコモの新技術は、AIによる無線リソース制御を通じて、6Gの重要な要件である「知能化」を実現するもの。今後、AIの自律的な最適化により、ネットワーク全体の効率向上や運用コスト削減も見込まれる。同社は、今回の成果を2023年6月にフランスで開催される国際会議「IEEE ICC 2023」で発表する予定。



