NECは21日、人工知能(AI)を活用して5G基地局の消費電力を最大30%削減する技術の実証実験に成功したと発表した。通信トラフィックの変動に応じて基地局の動作を動的に制御する仕組みで、2026年度中の実用化を目指す。
AIがトラフィック予測、無駄な電力をカット
5G基地局は高速大容量通信を支える一方で、従来の4G基地局と比べて消費電力が大きいことが課題となっている。特に、トラフィックが少ない夜間などにも常時フル稼働していると、無駄な電力消費が発生する。
NECが開発した技術は、AIが過去のトラフィックデータや時間帯、天候などの情報を学習し、将来のトラフィックを高精度に予測。その予測に基づいて、基地局の送信出力やアンテナの本数、処理する周波数帯域幅などを最適化する。トラフィックが少ない時間帯には一部の機能を停止または低下させることで、消費電力を抑える。
今回の実証実験では、実際の5Gネットワーク環境を模擬したテストベッドで、AI制御の有無による消費電力を比較。その結果、最大で30%の削減効果を確認した。NECの担当者は「AIの予測精度をさらに高め、2026年度中の製品化を目指す」とコメントしている。
通信事業者のコスト削減と環境負荷低減に貢献
5G基地局の消費電力削減は、通信事業者にとって運用コストの削減につながる。また、電力消費が減れば二酸化炭素(CO2)排出量も削減でき、環境負荷の低減にも貢献する。NECは、本技術を自社の5G基地局製品に搭載するだけでなく、他社の基地局にも適用可能なソフトウェアとして提供することも検討している。
総務省の資料によると、国内の5G基地局数は2025年3月末時点で約10万局に達しており、今後も増加が見込まれる。5Gの普及に伴い、基地局の消費電力は今後さらに増加する可能性があるため、省電力技術の重要性は高まっている。
NECは、2025年度を最終年度とする中期経営計画で、5G関連事業の強化を掲げており、本技術の早期実用化で競争力を高める考えだ。



