金沢工業大学(金沢工大)は、5G基地局の消費電力を従来のデジタル信号処理方式と比較して約90%削減できる新技術を開発したと発表した。この技術は、無線信号処理に特化したアナログ回路を採用することで、高効率な電力利用を可能にする。
技術の概要
従来の5G基地局では、デジタル信号処理に多くの電力を消費していた。金沢工大の研究チームは、無線信号の増幅や変調をアナログ回路で直接行う方式を開発。これにより、デジタル処理に必要なアナログ-デジタル変換やデジタル信号処理の工程を大幅に削減した。
研究チームによると、このアナログ回路は、従来のデジタル方式と同等以上の信号品質を維持しながら、消費電力を約10分の1に抑えることに成功した。具体的には、1台の基地局あたりの消費電力を、従来の約1,000ワットから約100ワットに低減できるとしている。
実用化への展望
金沢工大は、2025年を目途にこの技術の実用化を計画している。現在、基地局メーカーとの連携を進めており、量産化に向けた技術検証を開始している。研究を主導した教授は「5Gの普及に伴い、基地局の電力消費が社会問題となっている。本技術は、通信コストの低減と環境負荷の軽減に貢献できる」と述べている。
また、この技術は5Gだけでなく、将来の6G通信システムにも応用可能とされており、次世代通信インフラの省電力化に寄与することが期待されている。
社会的な意義
5G基地局の消費電力は、通信事業者の運用コストの大きな部分を占めており、環境面でも課題となっている。国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、世界の通信ネットワークの消費電力は2020年時点で約250テラワット時に上り、そのうち基地局が約7割を占めるとされる。金沢工大の新技術は、こうした課題に対する有力な解決策の一つとして注目される。



