パルマー・ラッキー氏が率いる米防衛企業Anduril Industriesと、米eVTOL開発企業Archer Aviationは7月20日(現地時間)、防衛用と商用の両方を想定した自律飛行VTOLプラットフォームを共同開発したと発表した。Andurilは同日、英ファンボロー国際航空ショーで、防衛向けモデルとなる自律攻撃回転翼機「Thunder」を公開した。
Thunderの特徴:ティルトローター方式とモジュール設計
Thunderは、有人の攻撃ヘリコプターや輸送ヘリコプターと連携して運用することを想定した自律型攻撃機。ティルトローター方式を採用し、滑走路を必要とせず垂直離着陸が可能で、固定翼機のような巡航飛行により長距離の高速飛行を実現する。
機体はモジュール式ペイロードベイを備え、ミサイルやロケット弾、電子戦装備、対ドローン装備、補給物資など用途に応じて搭載機器を変更できる。Andurilは、自社の自律運用ソフトウェア「Lattice」を搭載し、有人機との編隊飛行やミッション分担、リアルタイムのデータ共有を自律的に行えるとしている。
戦術的優位性:攻撃ヘリとの連携
例えばAH-64 Apache攻撃ヘリコプター1機にThunderを3機組み合わせることで、搭載可能な武器量を約3倍に増やしつつ、搭乗員を危険地域へ送り込む必要性を低減できるとしている。
Thunderの初飛行は2027年を予定している。Thunderは、両社が共同開発したデュアルユース(軍民両用)の新型VTOLプラットフォームをベースとしている。Archerは、今後商用版も公開する予定で、最初の商用顧客を週内に発表する見込みだ。
共同開発の狙い:商用技術の転用
両社は、商用eVTOL分野で培った電動推進技術や量産技術を防衛用へ展開することで、従来より低コストかつ大量生産可能な次世代航空機の実現を目指すとしている。
Andurilは関連記事で、日産自動車が閉鎖を予定する追浜工場(神奈川県横須賀市)の取得を協議しているとロイターが6月25日に報じた。防衛用ドローン(無人機)の生産拠点への転換を検討しているという。
Andurilの成長:AI防衛技術と資金調達
パルマー・ラッキー氏創業のAI防衛技術企業Anduril Industriesは、50億ドルの資金調達を実施し、企業評価額が610億ドルに達した。トランプ政権による軍の近代化を背景に、AIや自律技術を統合させた防衛システムの製造能力拡大と研究開発を加速させる。
また、AndurilはMicrosoftが米陸軍から獲得したIVASプロジェクトの一部を引き継ぐと発表した。米国防省の承認後、ハードウェアとソフトウェアの将来の開発や生産を引き継ぐとしている。
米空軍は、Anduril開発の自律型戦闘機「Fury」(YFQ-44A)の飛行テスト開始を発表した。有人機と連携するプログラムの一環で、2026年度に量産決定が見込まれる。



