新たな研究で5G通信の電波が鳥類の航行能力に影響を与える可能性が示唆される
5G電波が鳥類の航行能力に影響か、新研究

新たな研究により、5G通信で使用される高周波の電波が鳥類の航行能力に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。ドイツのオルデンブルク大学の研究チームが発表したこの研究は、5Gネットワークの急速な展開に伴い、野生生物への影響を懸念する声が高まる中で注目を集めている。

研究の概要と発見

研究チームは、ヨーロッパコマドリ(Erithacus rubecula)を対象に実験を行った。これらの鳥は地磁気を感知して移動する能力を持つことで知られている。実験では、5G通信で使用される3.5GHz帯の電波を鳥に照射し、その行動を観察した。その結果、電波照射下では鳥の地磁気感知能力が最大で70%低下し、方向感覚が著しく損なわれることが判明した。

研究を率いたヘンリク・モウリッセン教授は、「鳥は地球の磁場を利用して長距離を移動するが、5G電波がそのプロセスを妨害する可能性がある」と述べている。また、この影響は特に渡りの時期に顕著であり、個体の生存率や繁殖成功率に悪影響を及ぼす恐れがあると警告している。

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5G電波の影響メカニズム

鳥類の地磁気感知には、目の網膜にあるクリプトクロムと呼ばれるタンパク質が関与している。このタンパク質は磁場に敏感で、光を吸収すると電子の移動が起こり、これが脳に信号を送る。しかし、特定の周波数の電波がこの電子の移動を妨害することが知られている。研究チームは、3.5GHz帯の電波がクリプトクロムの機能を阻害し、鳥の方向感覚を狂わせることを確認した。

この現象は「ラジオ周波数妨害」として知られており、以前から携帯電話の基地局などが鳥類に影響を与える可能性が指摘されていた。しかし、5Gで使用される周波数帯が特に強い影響を及ぼすことが今回の研究で明らかになった。

環境への影響と今後の課題

この研究結果は、5Gインフラの計画において環境影響評価の重要性を強調している。特に、渡り鳥の主要なルート上に5G基地局を設置する場合、その影響を慎重に検討する必要がある。

一方で、研究チームは「今回の結果は実験室での観察に基づくものであり、野外での実際の影響はまだ不明である」と慎重な姿勢を示している。また、5G電波が他の野生生物に与える影響についても、さらなる研究が必要だとしている。

環境保護団体からは、5G展開の一時停止を求める声も上がっている。しかし、通信業界は「5Gの周波数は国際的な安全基準を満たしており、人体や環境への影響は限定的である」と反論している。

今後の研究の方向性

研究チームは今後、野外実験や異なる周波数帯での影響調査を計画している。また、鳥類以外の動物(昆虫や哺乳類)への影響も検討する予定だ。この研究は、科学誌「Nature」に掲載され、多くの研究者の注目を集めている。

モウリッセン教授は「テクノロジーの進歩と環境保護のバランスを取ることが重要だ」と述べ、政策立案者に対して科学的根拠に基づいた判断を求めた。

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