サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3か国大会は9日(日本時間10日)、準々決勝が行われ、2大会ぶりの優勝を目指すフランス(世界ランキング3位)がモロッコ(同7位)を2-0で下し、3大会連続の準決勝進出を決めた。フランスのエムバペは先制点を挙げてW杯通算得点を20点とし、今大会の得点数も8に伸ばしてトップのFWメッシ(アルゼンチン)と並んだ。アフリカ勢はすべて姿を消した。
フランスが前回準決勝の再戦を制す
前回大会準決勝と同じ顔合わせとなった一戦をフランスが制した。60分にエムバペがゴール左から狙い澄ましたシュートを決めて先制し、66分にデンベレのゴールで突き放した。モロッコは前半にGKブヌが相手のPKを止めるなど好守を見せたが、攻め手を欠いた。
タレント軍団が見せた集中力
これだけ優れたタレントをそろえるフランスが一丸となれば、躍進著しいモロッコといえど、押し黙るしかなかった。フランスの豪華な攻撃陣が猛威をふるい、前回4強の難敵を一蹴した。60分、フランスのエムバペ(右)が先制ゴールを決める。エムバペがPKを失敗するなど再三の好機を逃し、前半を0-0で終えると、選手たちはほぼ一列に走ってピッチを後にしていった。そして時間より早く戻って各ポジションにつき、待ち構えた。全員が目の前の相手に対し、恐ろしいほどに集中していた。
均衡を破ったのは60分。21歳のドゥエが後方からのボールを収め、前にいたエムバペへ。エースは股の間を閉じたDFをあざわらうかのように、空いたコースからゴールを射抜いて先制した。66分にはエムバペのパスを受けたデンベレがミドルで追加点。シュート数で22本対5本と圧倒し、デンベレは「相手はトップ5に入る力があり、難しくなるのは分かっていた。集中力を保っていれば好機が訪れると思っていた」と胸を張った。
フランスのチームワークと覚悟
前評判の高かった2010年大会、空中分解して未勝利で敗退した。当時以上に分厚い選手層を誇る今回は、余計な心配もしたくなるもの。だがこの日ドゥエに先発を譲ったバルコラや、出番のなかったマンチェスター・シティーで攻撃の中心を担うシェルキら実力者も、試合後にはデシャン監督と陽気に抱き合い、踊り出す。雰囲気は良好だ。エムバペは言う。「私たちには国を代表している情熱があり、勝たなくてはいけない義務がある。優れた選手がそろっているのは確かだが、チームワークを重視している」。勝利のため覚悟を決めた集団は、文句なしに強い。
フランスのデシャン監督は「モロッコが純粋なFWを先発させず、サイドのスピードある選手らを使おうとしてきたのには驚いたが、一方で我々はボールを保持することができた。次回は彼らの自国でW杯を開催し、若い選手が多いだけに期待が持てるだろう」と語った。
モロッコ、雪辱ならずも未来に希望
4強躍進の前回にも劣らない強い印象とともに、モロッコの冒険が終わった。仏出身ながら代表はモロッコを選んだ18歳のブアディは「モロッコを代表することを誇りに感じる。次回は、もっと強くなって戻ってこなければ」と誓った。前回準決勝の雪辱はならなかったものの、フランス相手に後半途中まで無失点。バイエルン・ミュンヘン(独)に移籍した得点源のサイバリを欠き、自陣で守りを固めた分、好機を作る場面は限られた。それでも、初戦でブラジルと引き分け、決勝トーナメントでもオランダをPK戦の末に破るなど、大会を通しての戦いぶりは見事だった。
共催国に名を連ねる4年後の次回大会に向け、前途は明るい。昨年のU-20(20歳以下)W杯で初優勝に導き、フル代表へと昇格したベルギー出身のワハビ監督は、「ディアスポラ」(離散の民)と呼ばれるモロッコ系移民の両親を持つ。同様の指導者や代理人らとともに2世、3世の有望株を代表に加えてきた立役者でもある。「顔を上げ、前へ前へと進んでいこう」。試合後の指揮官の呼びかけは、モロッコの旗の下に集った選手全員に響いただろう。
モロッコのワハビ監督は「がっかりしているが、敗戦を受け入れ、次は優勝するという夢を持ち続けることが大事だ。若い選手が多くいて、確固たる連盟があり、国王は投資を惜しまない。必要なものはそろっている」と述べた。



