7月7日(日本時間8日)に行われたサッカーのワールドカップ(W杯)北中米3か国大会の決勝トーナメント2回戦、アルゼンチン対エジプトで、エジプトが2-0のリードから逆転負けを喫し、初の8強入りを逃した。この試合で波紋を呼んだのが、60分頃にエジプトがゴールネットを揺らしながらも、得点が認められなかった場面だ。
VARが介入した攻撃の起点
自陣深くで、エジプトのアッティアらがアルゼンチンの選手からボールを奪い、そのカウンター攻撃からジーコがシュートを決めた。しかし、VAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)が介入。主審がピッチ脇のモニターで確認した結果、アッティアに相手の足を踏む反則があったと判断し、ノーゴールとなった。
日本サッカー協会審判マネジャーの上川徹氏は、この判定について解説する。
APPの概念と妥当性
反則があったとして、どこまでプレーを遡るのか。秒数や距離に決まりはない。VARの介入範囲は「得点か」「PKか」などと定められており、重要になるのが「APP(アタッキング・ポゼッション・フェーズ)」という概念だ。得点の数十秒前に起きた攻撃の起点での反則も、レビューの対象になる。
上川氏は「今回は一度も相手にボールを奪われていない速攻で、途中でバックパスを出すなど仕切り直しもなくAPPが続いていたと考えられるので、この場面まで遡るのは妥当といえる」と述べる。
ファウルの判断とVARの役割
問題となったファウルは、2人で攻撃側の選手に対応しており数的有利だった。意図はなく接触も軽く見え、その時点で主審が笛を吹かなかった判断は理解できる。しかし、VARが介入して検証した結果、足を踏まれており、次のプレーに影響を及ぼしていることがわかった。
上川氏は「介入は手順に沿ったもので適切だが、見ている側としてはその反則を探しにいくのかな、との思いも湧き出てくる」と率直な感想を述べた。
サッカーの魅力と判定のバランス
VARの導入で正確な判定はできるようになった。この場面も相手のプレーを妨げており反則と言えるだろうが、試合の流れなどを考慮する余地もあると上川氏は指摘する。「サッカーは接触のある競技で、反則が多くなれば試合は止まり魅力は保てなくなる。どういう着地点がよいのか、答えを出すのは難しい」と締めくくった。



