第108回全国高校野球選手権岩手県大会は11日、きたぎんボールパーク(盛岡市)とJALスタジアム花巻(花巻市)で1回戦4試合が行われた。注目の同地域対決となった水沢商対水沢工の一戦は、シーソーゲームの末に今大会初の延長戦へ突入。十回タイブレイクで守備から流れを作った水沢工がサヨナラ勝ちを収め、熱戦を制した。12日は悪天候が予想されるため、1回戦残り4試合は13日に順延となった。
花巻北・小原田が猛打賞の活躍
花巻北の先頭打者・小原田陽悠(3年)は3安打の「猛打賞」でチームの五回コールド勝ちに貢献した。二回二死満塁の好機で打席に立ち、「みんながつないでくれたから、一本出したい」と5球目を振り抜き、遊撃手の横を抜ける2点適時打。この日はチーム10得点中4点を挙げ、100メートル11秒台の俊足を生かして二盗も成功させた。努力を怠らない謙虚さを持ち、監督からの信頼も厚い。昨夏からスタメン、昨秋から先頭打者を任されている。練習試合では気持ちが浮足立つこともあったが、打撃フォームを体に染み込ませるため自主練習を重ねてきた。次戦の強豪・盛岡誠桜戦に向け、「つなぐバッティングで貢献したい」と誓う。
水沢商応援団「水かぶり」で激励
水沢商のスタンドでは、応援団による恒例の「水かぶり」が行われ、選手たちを激励した。硬式野球部の勝利を願い、応援団も気合を入れるため夏の大会で毎年実施している。この日は全校生徒や保護者ら約280人が駆けつけ、吹奏楽部の演奏に合わせて大声援を送った。1点リードの五回終了後、応援団長の辻山光(3年)が台に上がり、「このまま野球部が走り抜けるように水をかぶる!」と宣言。団員がバケツ2杯の水を思い切りかけた。靴の中までぬれた辻山団長は「もっと点を取って勝ってほしい」と熱いエールを送った。
ミニマイク:選手の声
チーム唯一の適時打を放った一関高専の泉翔選手(1年)は「平常心を心がけ、狙っていた直球を打った。3年生と少しでも長く野球をしたいと思っていたが、今はやり切ったという気持ち」と語った。延長十回タイブレイク二死満塁でサヨナラ打を放った水沢工の千葉優雅選手(3年)は「何が何でも絶対に決めてやると打席に入った。遊撃手に捕られるかと思った打球が抜けて、心の底からうれしかった」と喜びを語った。
青春譜:父の助言胸に勝ち越し打 花巻農2年・越田蓮心捕手
花巻農の越田蓮心捕手(2年)は五回二死一、二塁の勝ち越し機で打席に入り、「絶対に(走者を)かえす」と初球の直球を振り抜き、左前に運ぶ決勝点となる勝ち越し打を放った。強豪・花巻東でプレーした父・大輔さんが口癖のようにアドバイスしてくれた「初球はフルスイング」という言葉を実践。小学3年で野球を始め、社会人野球チームでプレーする父と二人三脚で練習を重ねた。ティーバッティングでもフルスイングを続け、「長打が強み」の選手として打線の中軸を担うようになった。父と同じ花巻東に進まなかったのは試合出場の機会を増やすため。花巻農では1年生から捕手としてスタメン出場を続けている。「自分は走者をかえすだけ」と持ち味の長打力を武器に、父が果たせなかった優勝への一歩を踏み出した。(渡辺大翔)



