健大高崎は夏の甲子園で“8強の壁”を打ち破り、決勝まで進出。準優勝に輝いた背景には、青柳博文監督(54)の采配があった。控え選手の能力を引き出し、チーム一丸で勝ち上がった。
準々決勝の代走策が決勝進出の鍵
18日の有明との準々決勝。0―0で迎えた延長タイブレイク十回、青柳監督は二塁走者の代走にチーム一の俊足を誇る藤村勇也(3年)を送り込んだ。犠打で三塁に進んだ藤村は、主将の石田雄星の打球が二塁手の右に転がるのを見て「迷いなくスタート」。捕手のタッチを右手一本でかいくぐるように滑り込み、セーフとなった。ビデオ検証でも結果は変わらず、サヨナラ勝ちで初の準決勝進出を決めた。
準決勝・決勝での起用が光る
天理との準決勝では、八回から途中出場した右翼の狩野蓮義(1年)が九回一死二塁の場面でライナー性の打球をダイビングキャッチ。部長の生方啓介(45)の守備位置の指示も大きかったが、打撃センスは抜群でも「守備に課題がある」という狩野の好捕がチームを救った。
八幡商との1回戦では、県大会で4打数無安打の豊永飛輝(3年)を指名打者(DH)に起用。「練習で力強いスイングができていた」という見立て通り、二回に先制打を放つなど3打点を挙げた。豊永はその後も全試合にスタメン出場し、今大会チームトップの4打点を記録した。
「功労者」への思いと総合力の勝利
22日の智弁和歌山との決勝では、1点を追う九回二死一塁の場面で小原快晴(3年)を代打に起用。県大会を含めて出場機会がなかった控え捕手の小原だったが、青柳監督は「投手陣のボールを毎日黙々と受け続けた小原のおかげで今大会の失点は少なかった」と考え、「功労者の小原をどこかで使いたかった。例え抑えられたとしても悔いはない」と決断した。小原はこの夏初打席で空振り三振に終わったが、スポーツライターの伊藤寿学(53)は「ベンチ入りした20人全員で戦ったと感じさせる象徴的な場面だった」と振り返った。
健大は部訓に、中国の思想家・孟子の言葉で団結の重要性を説く「不如人和」を掲げる。今年の部員数はマネジャーも含む121人と、今大会の出場チーム中で最多。大所帯だからこそ青柳監督は「勝敗や優劣はつくが、それぞれの役割を一生懸命果たすことができるかどうか。ベンチ外も含めて人から応援される選手にならなければならない」と繰り返してきた。主将の石田は「ベンチ外のメンバーのサポートもあって勝ち上がれた。自分たちだけでは絶対に勝ち上がれなかった」と語った。



