高校野球「7回制」導入の是非、賛否交錯…九回のドラマと選手の健康の両立は
高校野球7回制の賛否、九回のドラマと健康の両立は

「野球は九回ツーアウトから」という言葉がある。今夏の全国高校野球選手権大会では、智弁和歌山(和歌山)の優勝で幕を閉じたが、終盤の逆転で感動を呼んだ試合がいくつもあった。近年、試合の9イニングを短縮する「7回制」が議論され、こうした場面がなくなる可能性も指摘されている。甲子園で監督や選手、応援団に意見を聞いた。

九回の逆転劇が生んだ感動

熊本地震の被災地から出場した有明(熊本)は、立命館宇治(京都)との1回戦で、九回二死から4点を奪って逆転勝ちし、被災地から「勇気をもらった」という声があがった。2、3回戦も逆転勝ちしてベスト8に進み、終盤の攻防に注目が集まった。

1回戦の後、有明の高見一茂監督は「九回に劇的なドラマを生むとはこのこと。走者が出て球場全体が逆転があるという雰囲気になった」と振り返った。

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暑さ対策としての7回制提案

「7回制」導入の声があがる背景には、年々深刻化する夏の暑さから選手を守ることが喫緊の課題となっていることがある。日本高校野球連盟の検討会議が昨年12月にまとめた報告書では、2028年の選抜大会をめどに「7回制」を導入するのが望ましいとし、試合時間を30分短縮し、投球数も30球減らせると指摘した。

この夏、投打でチームを引っ張った鳴門渦潮(徳島)の西村大輝投手は「打席も多く回り、ドラマが生まれやすいので9回がいい」と話した。一方、東日本国際大昌平(福島)の吹奏楽部部長で3年の酒井鈴奈さん(18)は「炎天下での演奏は体力的に不安がある。楽器の管理にも気を使わないといけないので屋外にいる時間はできる限り短い方がいい」と7回制への理解を示した。

監督へのアンケートで賛否が分かれる

読売新聞が大会前に出場全49代表校の監督に「7回制」の賛否を尋ねたところ、32人が9イニングの維持を求めた。「多くの選手の出場機会の確保」や「ドラマがなくなる」という理由が多く、開催時期変更やドーム球場での開催を提案する意見もあった。一方、「選手の健康への影響を考えると仕方がない」と理解を示す声もあった。

家族で今夏の大会を観戦した大阪府吹田市の会社員男性(42)は「僕は九回まで観戦して楽しみたいが、小学生の娘は試合時間が短い方が集中できるかもしれない」と話す。「7回制」が導入されたら、七回ツーアウトからの新しいドラマが生まれるかもしれない。

今夏の大会では、クーリングタイムや2部制などの対策が講じられたが、選手に熱中症の疑いがある症状が出たケースは16件あった。暑さの影響は選手だけでなく、応援団や観客にも及ぶ。試合終盤の駆け引きも野球の魅力だが、健康を損なっては意味がない。難しい判断が続く中、みんなが納得できる形を見つけることが大切だ。

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