本州初のトキ放鳥、石川県羽咋市で実施
2026年5月31日午後、石川県羽咋市の水田が広がる農村地帯で、計8羽のトキが2回に分けて木箱から大空に放たれた。見守った人々からは「うわー」「きれい」と歓声が上がった。これは本州で初めてのトキ放鳥となった。
日本では野生のトキは生息環境の悪化で減少し、1970年に本州最後の1羽が能登半島で保護された後に絶滅した。その後、国と新潟県が中国から提供されたトキを佐渡島の施設で増やし、2008年に島内で初放鳥。現在、佐渡島には野生のトキが数多く生息している。
出雲市でも来年6月に放鳥予定
この取り組みを島外に広げるため、羽咋市が本州初の放鳥地点に選ばれた。そして来年6月には、島根県出雲市でも放鳥が予定されている。出雲市の飯塚俊之市長は初放鳥に立ち会い、「半世紀以上にわたってトキの保護活動に取り組み、共存できる環境づくりに取り組まれた方々の喜びはひとしおだったと思う。トキ野生復帰の気合の大きさを感じた」とコメントした。
6月14日に行われた2回目の放鳥を見学した出雲市農業振興課トキ分散飼育係副主任の高野翔太郎さんは、「放鳥した後、どうモニタリング(観察)したらいいか。出雲市内の鳥類専門家らの配置が課題だ」と、来年の放鳥に向けた課題を語った。
コウノトリ野生復帰の成功例から学ぶ
記者は兵庫県豊岡市が進めるコウノトリの野生復帰を2005年の初放鳥前から取材してきた。コウノトリの飛来先は現在、全都道府県に及び、国境を越えて朝鮮半島、中国、台湾にまで広がっている。コウノトリもトキも、野生復帰を通じて里地や里山、農地で多くの生き物が生きる環境を作るという目的は同じだ。
島根県雲南市ではコウノトリが多数生息するようになったことを機に、地元の小学校と豊岡市の小学校が交流したり、豊岡市の人が雲南市のコウノトリを見に訪れたりする動きが生まれた。コウノトリが人や地域を結んでいる。トキにも同じような効果が期待できるだろう。
「縁結びの鳥」としての期待
出雲市の飯塚市長は今年5月、能登地域トキ放鳥受入推進協議会長を務める山野之義石川県知事、佐渡市の渡辺竜五市長と「トキと共生する里地づくりを推進する」などとしたパートナーシップ宣言を結んだ。出雲のトキが「縁結びの鳥」になり、人々や地域の交流が盛んになることを願っている。



