東京都新宿区にあるSOMPO美術館が7月で開館50年を迎えた。ゴッホの「ひまわり」をはじめとする名作の公開と並行し、若手作家の発掘にも力を注いできた。今後は地域に根ざした美術館を目指すという。
「ひまわり」購入は「良い決断だった」
西脇芳和館長(66)は「『ひまわり』を見に世界中の方が来る。購入は良い決断だったと思います」と振り返る。同館は1976年7月、安田火災海上保険(現・損保ジャパン)新宿本社ビルの42階に「東郷青児美術館」として開館。2020年に隣接地へ新築移転し、現在の名称に改めた。
当初は同社と縁のあった画家・東郷青児のコレクションが中心だったが、1987年に「世界に通用する美術館にしよう」とゴッホの「ひまわり」を購入。世界に現存する6枚のうちの1枚で、アジアで唯一「ひまわり」を常設展示する美術館となった。
来館者数は公開年に約24万人へ
落札額は当時の絵画として最高の53億円。高額すぎる批判もあったが、公開された87年の来館者は年間約24万人に達し、以前の約2万人前後から急増した。その後も世界中から観光客が訪れ、昨年8月には累計入場者数が700万人を突破。どの展示でも最後に「ひまわり」を鑑賞できるよう工夫されている。
西脇館長は「企業の支援で運営が安定し、長期的な計画に基づいて充実した作品群を紹介できる」と同館の特徴を語る。
若手支援と地域貢献の取り組み
社会奉仕の精神に基づき、同館は名作の収集・展示に加え、若手の才能発掘にも注力。開館翌年の1977年から新進作家を援助する「美術財団奨励賞」を開始し、2012年からは公募式コンクール「FACE」を毎年開催。入賞作品の展示は若手作家の登竜門として定着している。2008年以降は新宿区の全区立小学校を休館日に招待し、貸し切りでの鑑賞機会を提供してきた。
50周年の今年は「新宿」と「再発見」をテーマに年間を通じて記念企画を実施。西脇館長は「アートを通じて皆さんの心を豊かにし、街全体をつなげるハブのような存在になりたい」と今後の展望を語った。



