「山の日」予算も後ろ盾もなく…道のり平坦でない 施行10年
「山の日」予算も後ろ盾もなく…道のり平坦でない 施行10年

8月11日の「山の日」を推進する「全国山の日協議会」(東京)が、政府の予算や業界団体などの大きな後ろ盾がないまま、綱渡りの運営を続けている。11日には岐阜県高山市内で今年10回目の記念行事を開催する。山の日は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」とされるが、どれだけ浸透できたかは不透明だ。

財源確保という課題

「これまでの道のりは決して平坦(へいたん)ではなく、財源確保という課題に日々向き合っています」。全国山の日協議会のホームページに掲載されている一文だ。令和6年度予算は約1500万円。7年度末時点の会員数は122団体、個人395人で「国民運動」を進めるには心許ない。関係者は「会費と寄付で成り立っている」と明かす。公式パートナー2社のうち1社は7年度で契約を終了するなど苦境は続く。

歴史は古く、祝日化の機運

山地は国土の7割を占めるだけに運動の歴史は古い。昭和36年に富山県で「山の日をつくろう宣言」がなされ、山梨、大阪、岐阜、群馬など各県が独自に記念日を制定。「八」が山の形に似ること、「11」が林を想起させることから8月や11日が目立つ。山岳団体などを中心に祝日化の機運が高まり、超党派の国会議員連盟による議員立法として平成26年に法改正された。

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登山人口は減少傾向

総務省統計局が5年おきに実施する「社会生活基本調査」によると、年1日以上、登山・ハイキングに取り組んだ10歳以上の推定人口は平成8年に約1500万人規模だったが、ここ20年は横ばいに。若年女性の「山ガール」が流行するなどアウトドアブームもあったが、令和3年は865万人とやや減少した。協議会は年1回の記念行事のほか、年数回のシンポジウムなどで周知を行ってきた。ただ、大規模な広告は出せず、行事費の大半は地元自治体が負担している。

他祝日との違い

山の日は民間主導で制定されたため、政府の財政支援を得るのは難しい。同様に民間主導で制定された7月第3月曜の「海の日」は記念月間に行事が多数あるが、海事、港湾企業など財政基盤の強い業界団体の支援がある。10月第2月曜の「スポーツの日」は各競技団体が後押しする。

新たな展開と今後

全国行事を必要としない4月29日の「昭和の日」などと異なり、「山に親しむ機会」である山の日は何らかの行事が求められる。同協議会は令和6年に公益財団法人へ移行し、税額控除認定を得て寄付金を集めやすくした。英語展開などホームページ発信を強化し、アクセス数はこの4年間で十数倍に。健康や水、防災など社会性のあるテーマや国際シンポジウムなどにも幅を広げる。近年は専門的な「ガチ登山」だけでなく、キャンプや里山体験など「ゆる登山」に広がりが出ている。猛暑の中で都市住民向けに避暑地としてのアピールも欠かせない。同協議会の梶正彦理事長は「それぞれの形で山や自然に親しみ、社会や暮らしに大切な存在だと知ることで、国民の財産をいかに次世代に引き継つぐか考えてもらいたい」と話している。

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