同居家族がいるのに孤立「家庭内孤立」の実態と対策
同居家族がいるのに孤立「家庭内孤立」の実態

東京都健康長寿医療センター研究所の調査により、家族と同居していながらも孤立状態にある中高年が一定数存在することが明らかになった。調査を担当した同センターの村山洋史研究部長は「同居家族がいるから安心ということではない」と指摘し、家庭内で孤立している人はひとり暮らしの人よりも精神的健康が不良な傾向にあると説明する。

外から見えにくい「家庭内孤立」の実態

村山氏らが家庭内の孤立に着目したのは、日常の調査活動で得られた違和感がきっかけだった。同研究所は高齢者の生活や健康を専門に研究する機関だが、地域活動やボランティアに積極的に参加し、外では人との交流が豊富な人でも、家庭での様子を尋ねると「家ではテレビを見て過ごす」「娘家族は忙しく、ほとんど話さない」といった声が多く聞かれたという。

社会的孤立は、死亡、認知症、心血管疾患、うつなどの発症と関連することが知られている。高齢者の社会的孤立に関する研究では、友人との交友関係や地域活動への参加など、家庭外のつながりに注目されがちだが、活発な人でも家では孤独を抱えている実態が日頃のヒアリングから浮かび上がった。

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家庭内孤立が健康に与える影響

そこで村山氏らは、同居家族との関係も健康に影響するのではないかと考え、2023年に埼玉県和光市で実施した調査に、家庭内の会話時間や一人で過ごす時間を詳細に把握する項目を追加した。その結果、外からは見えにくい「家庭内孤立」の状況が明らかになった。

調査では、同居家族がいるにもかかわらず、家の中ではほぼ一人で過ごす時間が長い人が少なからず存在することが判明。こうした人々は、ひとり暮らしの高齢者よりも孤独感が強く、精神的健康状態が不良である傾向が示された。村山氏は「家庭内での会話や共有時間の不足が、孤立感を深めている可能性がある」と分析する。

家庭内孤立を防ぐための対策

家庭内孤立を防ぐには、一緒に過ごす時間を意識的に作ることが重要だ。特に、男性の方が孤立しやすい傾向があり、海外でも男性の居場所づくりが進んでいる。例えば、イギリスでは「メンズ・シェッド」と呼ばれる男性専用のコミュニティスペースが増加しており、工作やガーデニングなどを通じて交流を促進している。

日本でも、地域のサロンや趣味のグループなど、家庭外でのつながりが孤立感を和らげる効果が期待される。村山氏は「家庭内でのコミュニケーション不足を補うためにも、外部との接点を持つことが重要だ」と提言している。

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