生活保護世帯のヤングケアラーという苦境から、現役で東大合格を果たした清野氏。普通の受験生であれば、E判定を見た瞬間に「もう志望校を下げよう」という性急な答えに飛びついてしまうが、清野さんはそこで安易な答えに逃げなかった。「無理かもしれない」と「でもやりたい」の間で揺れ続けたまま、勉強し続けた。この「宙ぶらりんに耐える力」こそが、彼の合格を決定づけたと、一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事でドラゴン桜2編集担当の西岡壱誠氏は語る。
「足りない」ことが思考を鍛える
ネガティブ・ケイパビリティは「足りない状況」でこそ鍛えられる。清野さんは、机に向かって勉強できる時間が周りの東大受験生に比べて圧倒的に少なかった。家事や介護、家庭内のトラブル、精神的な負荷があった。参考書を買うお金も、塾に通うお金も、家庭教師に頼るお金もなかった。
普通、これは「不利」でしかないが、だからこそ彼は「考えた」。「教えてくれる人がいない」→じゃあ自分で調べるしかない。「勉強時間が短い」→じゃあ密度を上げるしかない。「同じ問題集を何周もする余裕がない」→じゃあ一周でどう定着させるか考えるしかない。
独学で身につけた学習メソッド
その結果、彼はインターネットで学習科学を調べ抜き、アクティブ・リコール(何も見ずに思い出す)、ファインマン・テクニック(人に説明する)、スペースド・レペティション(忘れた頃に復習する)という手法にたどり着いた。これらは今、認知科学の世界で最も学習効果が高いと言われている手法だ。彼はこれで共通テストの英語の得点率を6割から9割に伸ばし、東大過去問50年分、共通テスト・センター過去問15年分を独学でやり切った。



