夏休みを目前に、子どもの読書習慣に悩む親は少なくない。せっかくの長期休暇、無駄にさせたくないという願いと、子どもが漫画ばかり読んでいる現実のギャップに頭を抱えるケースも多い。しかし、無理に本を読ませようとするのは逆効果だという。POSPAM代表で文筆家の尾石晴氏は、親が読書を楽しむ姿を見せることで、子どもが自然と本に興味を持つようになる「意外なテクニック」を提案している。
「読みなさい」は禁句、親の姿が最大の教材
尾石氏によれば、親が「これを読みなさい」「これを読まないと旅行に行かない」などと命令すると、子どもは必ずと言っていいほどその本を読まなくなるという。「勉強させてやろう」と親が思えば思うほど、うまくいかないのが常だ。そこで重要なのは、親自身も一緒に読書を楽しむ姿を見せることだ。尾石氏は、「お母さんもお父さんも一緒に読む、という状況がベストですね」と語る。
尾石家では、夫が食卓で世界史や日本史の学習漫画を読む習慣がある。たとえば、「大河ドラマに長宗我部氏が出てきたから、復習しようかな」といった些細なきっかけで手に取る程度だ。それでも、子どもは親が興味を持っているものを知りたくなるようで、「何読んでるの?」と自然と会話が生まれるという。「親から『読みなさい』と言われるよりも、リビングで親が読んでいる姿を見るほうが、子どもは真似したくなるようです」と尾石氏は説明する。
リビングに学習漫画を置く工夫
尾石家では、普通の漫画はすべて2階の本棚に収納し、リビングには家族共用の学習漫画だけを置いている。この工夫により、子どもたちは日常的に学習漫画に触れる環境にある。次男は、遊びに来た友だちに「お前の家の本棚、学習漫画ばっかりじゃん!」と言われるまで、その事実に気づかなかったほど自然に溶け込んでいるという。「言われてみれば!」という反応だったそうだ。
尾石氏は、「子どもって、『読みなさい』と言うと読まないけれど、日常的にリビングに転がっている本は積極的に読むんですよね。そうして読んだものが、結局は知識として長続きするのだと思います」と指摘する。親が楽しそうに読む姿を見せること、そして本を身近に置くことが、子どもの読書意欲を引き出す鍵のようだ。
夏休みの旅行も読書のきっかけに
尾石氏は最近、子どもに「夏の旅行、どこに行きたい?」と尋ねたところ、フランスに行きたいという答えが返ってきたという。理由を聞くと、『世界ミラクル探検隊』1巻に登場するエッフェル塔に行きたい、美術館があるから、と説明した。このように、漫画が旅行先の興味を引き出すきっかけにもなる。親が無理に勉強させようとせず、自然な形で知識を広げる環境を整えることが、子どもの成長につながるのだろう。



