7月16日公開の鼎談で、東京大学後期教養学部のSさんと京都大学文学部のMさんが、有名塾に通うことの落とし穴を赤裸々に語った。2人は「有名塾に入れば安心」という保護者の期待が、むしろ子どもの学力伸長を阻む可能性があると指摘する。
塾の仕組みが「わからなさに耐える力」を奪う
塾の標準的な指導法は、わからない問題を即座に解説し、月1回のテスト対策のみを重視する傾向がある。Sさんは「解説を聞くたびに、それを自分の答案にどう持ち帰るか考えること。それが塾を生かす唯一の姿勢」と語る。一方、Mさんは「わからないことをその日のうちに解決しなくていい。1カ月抱えていてもいい。その方が本物の力になる」と強調する。
2人はそれぞれ独自の学習法を実践。Sさんは映像授業を頻繁に停止して自分で考える時間を確保し、Mさんは集団塾を離れて個別学習にシフトした。これらの工夫は、短期的な安心ではなく、「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼ばれる、曖昧で不安な状態に耐える力を取り戻すためのものだった。
ネガティブ・ケイパビリティの重要性
ネガティブ・ケイパビリティとは、すぐに答えが出ない問題に対して、焦らずに問いを抱え続ける能力を指す。この力は難関大学の二次試験だけでなく、大学での学問、人間関係、就職活動、人生設計など、社会で直面する複雑な問題を解決する上で不可欠だとされる。
Sさんは「解説を聞くたびに、それを自分の答案にどう持ち帰るか考えること。それが塾を生かす唯一の姿勢」と述べ、Mさんは「わからないことを、その日のうちに解決しなくていい。1カ月抱えていてもいい。その方が本物の力になる」と付け加えた。
「有名塾=安心」の罠
記事では、有名塾に通わせることで安心する保護者の姿勢を「お金で安心を買うようなもの」と批判。しかし、人生で真に乗り越えるべき問題は曖昧で不安を呼ぶものばかりであり、そのような状況に耐える力こそがネガティブ・ケイパビリティを育てると指摘する。
鼎談の最後に、2人は受験当時の自分にひと言かけるとしたら、と問われた。Sさんは「解説を聞くたびに、それを自分の答案にどう持ち帰るか考えること。それが塾を生かす唯一の姿勢」、Mさんは「わからないことを、その日のうちに解決しなくていい。1カ月抱えていてもいい。その方が本物の力になる」と答えた。
「問いに耐えられる子」と「即答を求めてしまう子」のどちらが長い人生で成功するかは明白であり、家庭や保護者自身も「わからなさ」に耐える必要があると結論づけている。



