開成・桜蔭の基礎学力重視と独自の教育、2026年入試展望
開成・桜蔭の基礎学力重視と独自の教育、入試展望

2026年度の中学入試は、2月1日が日曜日となるサンデーショックの影響で、女子学院、東洋英和女学院、立教女学院などが入試日を1日から2日に移した。このため、1日入試の女子校は例年より志願者が多めとなっている。男子は昨年度、女子は一昨年度との比較が参考になる。両校とも志願者が多く、激戦が予想されるが、子どもの学力は入試の前日や当日の朝まで伸びるため、最後まで頑張らせてほしい。

開成中学校の教育環境と伝統行事

創立150周年事業としての高校新校舎の建て替え工事は2024年9月に完成し、開成中学校の教育環境は充実した。新校舎には普通教室のほか、物理・化学・生物・地学の実験室、美術・音楽、情報などの特別教室、大小の体育館や図書館などが設けられた。各教科の先生方がそれぞれのこだわりで計画した教室は、今後新しくなる教育に十分に耐えられる施設になったとみられる。道路を挟んだ中学棟とも空中回廊で接続し、荒天時でもスムーズに移動できる。

今年大学受験を迎えた生徒は2020年の入学で、新型コロナウイルス感染症の影響で中学校生活のスタートに大きな影響を受けた。開成はこの危機に対して早くから遠隔授業を開始し、運動会など一部の学校行事は中止になったが、授業は予定通り進み、夏休みなどの短縮もなく、影響が比較的少ない学校の一つだった。その生徒は26年度の大学入試で東京大学に198人(現役143人)など、圧倒的な合格実績を残し、海外大学にも6人が進学した。

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同校は学校行事が盛んなことも特徴の一つだ。生徒が企画し運営する運動会と開成祭(文化祭)は受験生必見で、志望理由になることも多い。4月の筑波大学附属高とのボートレースは長い歴史を持ち、新中1、新高1は応援に参加することで伝統を体感する。6月の学年旅行は生徒が企画し、いくつかのプランを立てて実行される。千葉県の那古宿舎で実施される水泳学校は褌(ふんどし)での古式泳法、秋のマラソン大会や冬のスキー学校も伝統行事だ。

クラブ活動も盛んで、多くの運動部、学芸部、同好会があり、約80の団体にほとんどの生徒が参加している。なかには全国レベルのクラブ活動もあり、都大会、国内大会、国際大会でも活躍している。

授業では、先生方が学年団を組み、中1から高3まで持ち上がることが多い。特徴的なのは、主要教科以外の授業も充実していることだ。音楽では中学1、2年でピアノ、3年ではギターを学び、高校での選択コース(ギター・ピアノ・歌唱・作曲)に備える。美術、工芸、書道も洋画、日本画、彫刻、書道の専門家による授業で、レベルが高い。東京芸術大学に進学する生徒や、音楽など芸術関係に進む生徒がいることも納得できる。

同校が力を入れていることの一つが、海外大学への直接入学を支援するための英語教育や留学支援だ。中3で1日英語漬け体験があり、希望者対象に7、8時間目に実施される高校英語特別講座では、海外大学進学サポートや、より実践的に英語を使用する機会が設けられている。民間検定試験は、中3でGTEC、高1でケンブリッジ英検を全員が受検する。

英語が母語の留学カウンセラーが校内にいるため、留学フェアや留学報告会が校内で実施され、気軽に相談できる。25年には海外サマースクールに全校で80人が参加した。

卒業生の寄付金を基にしたペン剣基金で、生徒の自由な研究のための必要経費を支援したり、道灌山奨学金で経済的に困窮している家庭のために奨学金を交付したり、家計急変時の支援なども充実している。

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野水勉校長は入学を希望する生徒や児童に対し、「新聞や本を読み、社会や世界の動きを学ぶ習慣を身に付けてください。国の違い、文化や宗教などの背景の異なる人々に対して、また、弱い立場、恵まれない環境の人々に対して、相手の立場に立って考えてみて、自分で考えたことを積極的に伝える努力をしてください。受験の結果が合格につながらなかったとしても、失敗や困難を糧にして、その後成功した人はたくさんいます。努力の過程こそが、貴重な財産です。頑張ってください」とメッセージを送っている。

桜蔭中学校の自立を促す学びと伝統

桜蔭中学校は24年に創立100周年を迎え、記念事業として東館を建て替えた。東館には地下に温水プール、高校生の普通教室、理科室、体育館などが設けられた。さらに西館や講堂とも道路を越えて空中の渡り廊下が設けられ、荒天時の移動も便利になり、安全性も高まった。

教育課程で中1の週当たりの時間数をみると、国語4、書写1、地理2、歴史2、数学4、理科3、外国語が4だ。東大など難関大学に毎年多数の合格者を出す学校だが、実際には音楽、美術、保健体育、技術家庭、礼法、道徳などにも十分な時間数を割り振り、バランスのよい時間割になっている。ただし進度は早いため、授業にしっかり集中し、復習や宿題をしっかりしないと大変だ。土曜の放課後にはOGがチューターとして生徒をサポートしている。各先生がこまめに小テスト、ノートチェックなどを行い、必要な際は個々へのフォローもされているようだが、まずは授業を大事にすることが求められる。

同校の特徴は定期試験で席次を公表しないことだ。他人との比較ではなく自分自身のこととして成績を考えさせる。高校2、3年の数学では習熟度別授業もあるが、どちらのレベルで学ぶのかは自分で考えて決めることになっている。高校の課程では選択科目が大半になるが、文系理系は分けずにそれぞれの進路に合わせて科目を選ぶことになる。自分で考えて自立させる。これが桜蔭らしい学びだ。

英語4技能にも力が入る。中学では英会話の授業、オンライン英会話も家庭で受講できる。GTECの検定試験も受検する。東京グローバルゲートウェイでの学びなど、生徒に必要な学びは学校で十分に提供されている。

開校時から大切にされている礼法は今に続く。中1の道徳は校長先生と担任の先生が隔週で担当し、校長先生は桜蔭の歴史などを教える。技術・家庭科では基本的な生活技術と知識を身に付け、生活面での自立を目標として、調理、裁縫、コンピューターやプログラミングなど幅広く学ぶ。

昭和40年代から続く自由研究プレゼンテーションは探究学習の先駆けで、生徒がそれぞれテーマを決めて研究して発表する。文化祭や体育大会も、生徒主導で緻密に計画を立てて限られた時間や施設を有効に活用して楽しむ。

クラブ活動は必須で、生徒はいずれかの部に所属する。運動部では週1回だけのⅠの部と週に数回の練習と対外試合に参加するⅡの部があることが多く、自分のスタイルで部活も決めることができる。

中学の修学旅行先は東北、高校は関西だ。日本の伝統文化を学ぶことを大切にしている。卒業後、海外に留学する生徒や海外で働く生徒も増えているようだが、まずは日本の原点をしっかり感じさせるのも特徴だ。

中学の入学試験では、出願資格として学校までの通学時間が90分までと制限されている。筆記試験の後には面接があり、立ったままグループでそれぞれ回答する形式だが、しっかりと先生の話を聞き、的確に答えることができれば大丈夫だ。

東京女子高等師範学校の卒業生が女性だけの同窓会桜蔭会を設立し、その同窓会を基に設立した桜蔭女学校が母体だ。女子は学ぶことも困難だった時代に、理想の女学校を自ら作り、その校風は今に引き継がれ、自主的にしっかりと学習する一方で、礼法や道徳など伝統的な学びも大切にされている。

21年にはスラックスを導入した。伝統的な制服を大切にしている学校のため、かなり話題になった。すでに導入している学校もあったが、桜蔭の導入後は他の女子校も追随し、スカートだけの学校がかなり少なくなった。

今年度も東京大学52人、国公立大学の医学部医学科に19人など、女子校では圧倒的な進学実績を残している。まずは学校の授業を大切にして、部活や行事もしっかり参加して頑張った子が伸びるようだ。文化祭や最近は土曜日実施の学校説明会で、同校の生徒の様子がわかる。この雰囲気に子どもがなじむようであれば、ぜひ果敢にチャレンジしてほしい。

開成中も桜蔭中も入試問題に特徴があるため、志望校別対策が重要だと言われる。大切であることは言うまでもないが、まずは4科目の圧倒的な基礎学力が土台になることを軽視してはいけない。入試レベルの学力を身に付けるにはまず基礎学力が重要だ。本格的な志望校対策は、6年生の秋口以後で十分だ。まずはしっかりと基礎を固め、志望校目指して頑張っていきましょう。