内科医の名取宏氏は、がん患者からよく受ける「食事で気を付けることは?」という質問に対し、多くのがん食事療法が逆効果であると警鐘を鳴らす。手術や抗がん剤治療は医師に任せるしかないが、食事なら自分で何かできるかもしれないという患者の切実な思いにつけ込み、「玄米菜食で体質改善」「砂糖を断つ」「酸性食品を避ける」など、がんを治すと称する食事療法が数多く存在するという。
がんを治す食事療法は存在しない
名取氏は、現時点で「がんを治すことが証明された食事療法」は存在しないと断言する。「がんが治った」という体験談のほとんどは、標準治療の併用や治療効果の誤認で説明できるとし、これは個人的な考えではなく、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトでも「特定の食事、食品、ビタミン、ミネラル、サプリメント、ハーブなどが、がんを治したり、進行を遅らせたり、再発を防いだりすることを証明した証拠はない」と明記されていると指摘する。さらに、一部のサプリメントは抗がん剤などの標準治療の効果に影響する可能性があるため、摂取前に医療者に相談するようすすめられている。
バランスの良い食事と体力維持が重要
特定の食品だけを多く食べたり、極端に避けたりする必要はなく、さまざまな食品を取り入れたバランスのよい食事が基本だと名取氏は述べる。治療の副作用で食欲が落ちているときは、十分なカロリーを確保するため、食べられるものを無理なく食べることが何より大切であり、がんを治す食事はないが、がんと闘うための体力を維持できる食事はあると強調する。



