次期学習指導要領では、小・中・高校ともに情報教育が拡充され、授業数も大きく増やす方向で議論が進んでいる。しかし、情報を教える教員の数が足りず、知識も不足しているといった課題が残る。中学の技術科教諭の経験もある兵庫教育大学長の森山潤教授(技術科教育・情報教育)に、見通しを聞いた。
情報教育拡充の背景と具体的内容
小学校では「総合的な探究の時間」(総合学習から名称変更予定)に「情報の領域(仮称)」を新設。中学も「情報・技術科(仮称)」ができ、現在のコマ数を倍増して中1、中2は年間最大70コマ(週2)程度、中3は35コマ(週1)程度、情報を中心とした授業が行われる見込みだ。
森山教授は「改訂される情報教育は、これからの時代を生きる子どもたちに『マスト』な教育です。日本の情報教育は、他の先進国と比べて20年は遅れている」と指摘する。1人1台の端末が配られても、特に小中学校は活用に差があるという。
急激に進化する情報技術について、特性や仕組み、適切な取り扱い、メディアリテラシーも含めて理解し、活用して、探究的な質の高い学びにつなげる。その基盤となる授業が、「情報の領域」や「情報・技術科」だと森山教授は強調する。
教員の数と質の課題
公立中学で技術科を教える教員の4人に1人が専門免許がないという調査結果が出ている。指導体制の不安について、森山教授は「教員の問題は、数と質の両面です」と語る。
「情報科を担当する教員が不足しているだけでなく、既存の教員の情報リテラシーや指導力にもばらつきがあります。特に小学校では、担任が全ての教科を教えるため、情報教育の専門性が十分でないケースが多い」と課題を挙げる。
研修の重要性と今後の展望
森山教授は「数も質も研修も、全てが重要です」と述べ、教員養成段階から情報教育の研修を充実させる必要があると訴える。兵庫教育大学では、現職教員向けの情報教育研修プログラムを開発し、実践的なスキル向上を支援しているという。
「情報技術は日々進化しており、教員自身が学び続ける姿勢が求められます。研修を通じて、教員が自信を持って情報教育を指導できるようになることが、子どもたちの学びの質を高める鍵です」と森山教授は語る。
次期学習指導要領の実施に向けて、文部科学省は教員研修の拡充や専門免許を持つ教員の配置促進などの施策を検討している。しかし、現場の負担増や予算確保など、乗り越えるべき課題は多い。



