英語学者の大西泰斗さんは、高校受験で第1志望に落ちた挫折をきっかけに、高校時代は勉強漬けの日々を送った。英語が苦手だったにもかかわらず、大学進学後に「英語の先生やります」と宣言した経緯を明かした。
高校受験の挫折と猛勉強の日々
大西さんは東京都板橋区の私立城北高校に進学。入学後、仲の良い先生から「君は合格最低点でギリギリだったからね」と言われ、「今後の人生では絶対試験に落ちない」と心に決め、1年の5月頃から受験勉強を始めた。
高校に入ると身長が伸び、精神的な成熟を感じるようになり、勉強も簡単に感じるようになった。1年が終わった段階で3年までの履修内容をすべて終え、成績は学年トップクラスになった。
英語への苦手意識と「言葉ってすごい」との出会い
高校時代は「思い出らしいものはほとんどなく」、夕方帰宅すると背を伸ばすために毎日1リットルの牛乳を飲み、アニメを30分ほど見る以外は勉強の日々だった。風紀委員を3年間務め、メガホンを持って上級生に注意する役目を「わりと快感を覚えながらやってました」と振り返る。
一方で、古典に通じた先生に誘われて3年の夏に『源氏物語』を読み込み、「言葉ってすごい」と初めて感じた。NHKラジオの英会話番組で講師を務めた岩村圭南先生からは、昼食の時間を削って英会話を教わり、「本当の英語ってこうなんだ」と思ったという。
しかし当時、英語は「めちゃくちゃ苦手」で、大学入学共通テストに当たる試験ではほかの科目は満点近いのに、英語だけは8割がやっとだった。「本当の意味で英語が『わかった』と感じた経験が一度もなかった」と語る。
筑波大学進学と「英語の先生」宣言
第1志望の筑波大学に現役合格した大西さんは、両親の勧めや学校を舞台にしたドラマの流行もあって教員を志し、筑波大学を選んだ。1年の時に教科を決める際、古典が好きで国語が得意だったが、「あれだけ勉強したのに英語を話せるわけでも、わかった気にもならなかったことが引っかかっていて」と振り返る。
その結果、「つい言っちゃったんです。『英語の先生やります』って」。国語の先生の方が楽しかったと思うことはあるが、「まったく後悔はありません。要するに、自分を阻もうとするものに負けたくなかった。負けなければなんでもよかっただけなのかもしれません」と語った。



