緊急時に児童・生徒らが駆け込める「子ども110番の家」が全国で減少する中、認知度を高めようとする取り組みが各地で行われている。110番の家は1990年代ごろから広まったが、現在の登録数は約135万軒。地域のつながりの変化が背景にあるとみられる。
登録数は3割以上減少
警察庁によると、2025年度の登録は約135万軒。現在の手法で集計を始めた2008年度の約210万軒から、3割以上減った。高齢化や共働き世帯の増加などが背景にあるとみられる。
一方で、緊急時に役立った事例も一定数ある。2025年度には、小学生が不審者に写真を撮られて民家に駆け込んだり、住所を聞かれて洋菓子店に助けを求めたりし、それぞれ警察官の到着まで保護された。
大阪市では通学路ツアーを実施
認知度を高めるため、普段から顔の見える関係を築こうと取り組む地域がある。大阪市立苅田小(住吉区)の校区では2021年から、児童が110番の家を巡るツアーを実施している。地域住民らが「平時に接点を作る必要があるのでは」と始めた。今年も6月下旬、児童約30人が通学路でステッカーを掲げた店舗などを回った。
参加した6年生(11)は「自宅の近くにも何軒かあることに初めて気付いた。困ったことがあったら頼りたい」と話した。地域連携などを学ぶ桃山学院大の学生らも運営に携わり、大倉仁志・同小校長は「様々な人が関わって安全を担ってくれるのはありがたい」と感謝する。
この取り組みを参考に、近くの同市立清水丘小の校区も2024年から始め、新たに登録を申し出る住民もいるという。
富山県南砺市では「空白地帯」を減らす
富山県南砺市の市立福野小の校区では、新1年生が110番の家を巡るイベントが1998年から続く。今では小学生が「雨宿りさせて」などと気軽に立ち寄っており、住民らが協力を呼びかけて「空白地帯」も減らしてきた。約20年前から携わる男性(67)は「地域で子どもたちを守り、育てるという意識を共有できているおかげだ」と語る。
NPO法人「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田美恵子理事長は「子どもがSOSを発するのは大人が考えるよりも難しく、取り組みのノウハウをぜひ広めてほしい。通学路で犯罪に巻き込まれることが多く、新学期が始まる時期に子ども110番の家の場所を確認し、『もしもの時』に備えて親子で話してもらえたら」と提案した。



