ジオテクノロジーズは8月18日、9月1日の改正道路交通法施行令施行による「生活道路の法定速度引き下げ」を前に、走行実態分析およびドライバーへの意識調査の結果を発表した。
調査の概要と背景
走行実態分析は2026年5月1日~5月31日、東京都23区、大阪府、愛知県、福岡県、群馬県、長野県の各5か所の生活道路、およびゾーン30指定区域内の道路を対象に、人流データから抽出した自動車の走行履歴を分析。ドライバー意識調査は2026年6月23日~6月29日、同エリアの居住者で、普通自動車免許保有かつ月1回以上運転する20~69歳の男女4,994人を対象にインターネットで行われた。
2026年9月1日より、中央線や車両通行帯がない主に住民の生活に利用される「生活道路」の法定速度が60km/hから30km/hへ引き下げられる。施行を前に、同社は人流データ「Geo-People」を活用した走行実態分析と、位置情報に基づくアンケートリサーチ「Geo-Research」を活用したドライバー意識調査を実施した。
認知度と理解度のギャップ
2026年9月に施行される生活道路の法定速度引き下げについて、すべての地域で約6割が認知している一方、「内容も含めて詳しく知っている」と回答した人は15%前後にとどまった。また、引き下げ対象となる道路と、引き下げ変更前後の法定速度を両方正しく回答できた人は、全地域で1割未満となり、制度を認知している層に限っても正解率は約1割にとどまった。
すべての地域で約9割が生活道路の法定速度引き下げを「必要な改正」と評価した。一方、「必要だと思うが、順守することに不安がある」と答えた人は3割を超え、制度への賛同が広がる一方で、実際の順守には不安を感じる人も少なくないことが分かった。なお、改正に否定的な回答は約1割と限定的だった。
順守の障壁と走行実態
すべての地域で「どこが対象道路か分かりにくい」が最多となり、各地域で回答者の約4割が挙げた。続いて、「後続車や周囲の車からプレッシャーを感じそう」が約3割、「つい速度を出してしまいそうな道路がある」が上位に挙がった。このことから、制度の周知だけでなく心理的要因や道路環境も順守の障壁となっている様子がうかがえる。
すべての地域で約8割が「常に速度を抑えて運転している」または「周囲の状況(歩行者・自転車など)に応じて速度を調整している」と回答し、速度を意識して運転していることがうかがえる。しかし走行実態を見ると、東京都23区のみ約5割が「30km/h以下」で走行しているのに対し、東京を除く全地域で約6~9割が「30km/h超」で走行している。現行の法定速度では適切な範囲内であるものの、「安全に配慮している」という意識のまま普段通りの感覚で走行を続けた場合、9月の施行以降は新たな法定速度(30km/h)を超過してしまう可能性があり、現在の運転感覚と新たな法定速度との間にギャップがあることがうかがえる。
ゾーン30の実態と今後の課題
すでに30km/h規制が導入されている「ゾーン30」について速度分布を分析したところ、東京都23区、大阪府、愛知県、福岡県といった都市部における最多速度帯は「30~35km/h」であり、「30km/h超」の走行割合が約5~6割と過半数を占めることが分かった。さらに地方部では、長野県の最多速度帯は「35~40km/h」で「30km/h超」の走行割合が約7割、群馬県では最多速度帯が「40~45km/h」で「30km/h超」の走行割合が約8割に達しており、走行車両の大部分が規制速度(30km/h)を超過している実態が明らかになった。
この走行実態と、意識調査で明らかになった「制度の正しい理解は1割未満」「対象道路の分かりにくさは約4割」「後続車からのプレッシャーは約3割」を踏まえると、30km/h規制の定着に向けては、対象道路を分かりやすく伝えることや、周囲の車からのプレッシャー、速度が出やすい道路構造などへの対応も重要と考えられる。さらに地域ごとの走行実態に応じた啓発活動を行うことも、法令順守の促進につながると考える。
生活道路における法定速度引き下げに関する自由回答では、「事故の減少」や「安全性向上」といった制度導入を好意的に受け止める期待の声が多く寄せられた。一方で、「煽られるのではないか」「後続車からのプレッシャーが気になる」「クラクションを鳴らされそう」といった不安が挙げられ、回答の約1割で言及された。また、対象道路やルールのわかりにくさを指摘する意見のほか、歩行者・自転車を含めた安全対策や制度の周知・情報提供の充実を求める声も寄せられた。



