渋谷区がごみのポイ捨てに過料2000円を科す取り組みを始めてから、2か月が経過した。徴収件数は先月末時点で約500件に上っており、区は「少しでもポイ捨てを減らし、街の美化を進めたい」としている。
巡回指導員が取り締まり
先月29日夕、JR渋谷駅近くの宮益坂で、区の巡回指導員が若い女性に「渋谷区役所です。そこの角で、たばこを捨てましたよね」と声をかけた。女性は路上に吸い殻を捨てたことを認め、その場で現金2000円を支払った。
この日は、巡回指導員が2人1組で渋谷センター街などを回り、ポイ捨てをした人たちを次々に呼び止めた。旅行中の韓国人男性(26)は「お金を取られるとは知らなかった。次から気をつける」と話した。
ポイ捨て急増の背景
区内では、コロナ禍が収束した2024年頃から、ごみのポイ捨てが急増した。区が渋谷駅や原宿駅の周辺など五つのエリアの歩道を調べたところ、2022年5月は100メートル当たり平均8.0個だったのに対し、昨年5月には7倍の56.3個に増加していた。
こうした状況を受け、区は昨年12月、ごみのポイ捨てを禁じた条例を改正。抑止効果を高めるため、それまで実績がなかった刑事罰の罰金を、区が直接徴収できる行政罰の過料に変更し、6月1日から適用した。
徴収実績と課題
区によると、同月以降、警察OBらからなる巡回指導員が1日最大60人態勢でパトロールし、徴収件数は先月末時点で508件(速報値)に上ったという。ポイ捨てされたごみは、たばこの吸い殻やペットボトル、空き缶が多く、違反者の約2割は外国人だった。
違反者が「現金を持っていない」などと言って、支払いを拒むケースも後を絶たない。区はキャッシュレス決済にも対応し、その場で払えない場合は納付書を渡して、後日支払うよう求めているが、巡回指導員の一人は「声をかけると、走って逃げられることも多い。相手が酔っ払っていて、暴言を吐かれたこともあった」と明かす。
トラブル防止と新たな対策
区は、トラブルから巡回指導員を守るため、7月に小型の「ウェアラブルカメラ」を導入。胸元に装着してポイ捨ての場面や違反者とのやりとりを撮影し、証拠の保全を図っている。
改正条例では都内の自治体で初めて、繁華街のコンビニ店や、テイクアウトの飲食物を提供する店などにごみ箱の設置を義務付けた。すでに9割以上の店舗で設置が進み、区も今年度中に、渋谷駅周辺にごみ箱を設置する方針だ。
区環境整備課の中嶋哲也課長は「『ポイ捨てごみが以前より少なくなった』との声も聞かれる。今後分析を進め、より効率的、効果的に巡回できる方法を検討していきたい」と話した。
他区の取り組み
他の自治体も対策を強化している。新宿区は条例で、飲料の缶や瓶、たばこの吸い殻などのポイ捨てに罰金を科しているが、10月から新たに弁当の容器や割り箸、ストローなどを禁止対象に追加する。
区によると、コロナ禍以降、テイクアウトの弁当のごみが増えたといい、区は「禁止対象を具体的に示すことで意識を高めてもらう狙いがある」としている。
千代田区では、特に外国人観光客の多い秋葉原地区でのポイ捨てが課題になっている。これまで防犯上の観点から公共のごみ箱を減らし、ごみを持ち帰るよう推奨していたが、今年度から方針を転換。自動でごみを圧縮する「スマートごみ箱」の設置を決め、10月下旬にも秋葉原中央通り周辺に計20台設置する予定だ。



