実家倒壊の男性、被災地のごみ回収に奮闘 氷川町
実家倒壊の男性、被災地のごみ回収に奮闘 氷川町

熊本地震で最大震度7を観測した被災地では、家庭ごみ回収の負担が増している。避難生活や断水の影響でごみの量が増大し、道路環境も悪化しているためだ。地元の回収業者は自らも被災しながら、炎天下の街を連日駆け回っている。

ごみの量は通常の3倍、地震直後は8倍

1200棟以上の住宅が全半壊するなどした熊本県氷川町で7日朝、ごみ回収を担う同町の「木下工業」に勤める木下寿久さん(40)は、臨時に開設されたごみ置き場に山積みとなっていたごみ袋を収集車に投げ込んでいた。「いつもの3倍。地震直後は8倍ぐらいだったからまだましだ」と語った。

同町では倒壊した家屋が道路にはみ出すなどしており、通常の回収ルートを変更したり、徐行運転したりすることを余儀なくされている。高速道路が不通となり、八代市にある焼却場に向かう下道の渋滞も激しい。このため昼休憩も取れず、移動中の車内でおにぎりをほおばりながら、焼却場まで1日に2~3回往復する。木下さんは「量が多くて、さらにこの猛暑でしんどい」と漏らす。

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実家は全壊、それでも仕事を続ける

7月28日夕、氷川町の実家で横になっていた木下さんは大きな揺れに襲われた。立ち上がれないほどの揺れ。ガラスが割れ、テレビが倒れる。天井が落ちてきた。天井のはりと自身の体の隙間は10センチほどに迫った。「死ぬかもしれない」。そう思ったが、約20分後、近所の人がこじ開けてくれた壁の穴から抜け出すことができた。実家は全壊した。「地震の怖さと命があった安心感でその日の夜は涙が止まらなかった」と振り返る。

ごみの回収は、感染症や悪臭などを防ぐため欠かせない。町から委託を受けており、休むわけにはいかない。普段は土木作業員として働くことが多い木下さんだが、地震翌々日の同30日には、父で社長の正剛さん(64)と2人で回収作業を再開させた。現在は、増大するごみに対応するため、いつも回収業務に取り組む従業員2人も加わって4人態勢のフル稼働で作業に当たる。

木下さんが暮らす宇城市の自宅は夜間の断水が続いており、シャワーを浴びることができず、夕飯もレトルト食品の日もある。実家の片付けは手つかずのまま。だが、仕事を続けることに迷いはない。「生まれ育った町のため。地震が起きても、猛暑であってもやるのは当然です」。地元への思いを胸に言った。

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