革手袋が盾に、ヒグマ襲撃から生還も後遺症 ハンターの覚悟
革手袋が盾、ヒグマ襲撃生還も後遺症 ハンターの覚悟

春期管理捕獲中、約280キロのヒグマの襲撃から生還した高島紀彦さん(69)=北海道島牧村=は、当日が誕生日だったことをちゃかした。「死んでたら、誕生日と命日が一緒で、逆に楽でいい」と。ただ、後遺症は深刻だ。

150キロ以上離れた病院まで救急車で運ばれ、野生動物による感染症のリスクから手術は複数日にわたり、入院生活は25日間に及んだ。特に激しくかまれた左手は甲の骨がバラバラになり、プレートが入っている。退院後も感覚がないという。右手も50針ほど縫った。傷痕は体中に残り、日常生活にも支障が出ている。

革手袋が「盾」に

それでも、手を失うことは免れた。革手袋が「盾」として機能したことが一因とみられる。高島さんは日頃から後輩たちに「常に最悪の事態を想定しろ」「装備を怠るな」と説き、自らも徹底していた。事故は強烈な戒めとなり、新たにヘルメットを買いそろえるなど、全員が装備を見直した。

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仲間の後悔と継続

凄惨な事故を目撃した仲間は「もっとできることがあったのではないか」という後悔にさいなまれ、春期管理捕獲の中止も議論された。だが、「自分のけがでやめたと知れば社長(=高島さん)は怒るぞ」と翌日も山へ入り、1頭を捕獲した。今季の道内全体で春期管理捕獲は計16頭。島牧村がトップの7頭だった。

高島さんは今後もヒグマ対策の最前線に立ち続ける意向だ。「トラウマにはならないのか」との問いには、こう答えた。「クマ撃ちをやっている以上、何があるかわからない。その覚悟を持ってやってきた」

猟友会は、狩猟免許の所持者による趣味の団体だ。島牧分会の16人も、会社員や漁師など、それぞれ「本業」がある。それでも死と紙一重の現場に向かうのは「地域の人が困っている」「自分たちの特殊スキルなしに対応できない」――。そんな思いや責任感からだという。

道によると、クマ駆除中の人身被害は、高島さんの件を含め、直近10年で計7件起きた(6月末現在)。7月17日には、更別村で、有害鳥獣捕獲のために巡回していた男性ハンターがヒグマに襲われ負傷した。

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