公共交通不便地域の12%に移動手段をどう確保?自治体の対策問われる
公共交通不便地域の12%に移動手段は?自治体の対策

和歌山市によると、市内では2023年度時点で人口の約88%が駅から約1キロか、バス停から約500メートル内に住むとされる。この範囲外の、身近な移動手段を持たない「公共交通不便地域」に住む約12%の人々に、行政の対策が期待されている。

安原地区では、主に農地の中に住宅が点在し、面積は約10平方キロと広大。同校には5月1日時点で約530人が通う。地区内の路線バスは2012年、利用がふるわなかったことを理由に廃止され、現在は小さな子どもや高齢者の送迎、買い物など日常の移動に自家用車が多用される。

地域バスの実証運行と本格導入

市は公共交通不便地域の対策として、ワゴン車を使った「地域バス」の運行を検討。2021~2023年度には6地区で実証運行を実施し、1便当たりの平均乗客数が1.5人以上との基準を満たした3地区で2024年度までに本格導入した。安原など3地区は基準を満たさず導入に至らなかった。

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試験運行した地域バスは県道などを通り、鉄道駅やスーパー最寄りなど15の停留所を結んでいた。安原地区の50歳代の自営業男性は「県道に停留所ができても、奥まった住宅地に住む高齢者らはそこまで出てこられない。需要を丁寧に聞き、きめ細かいルート設定をしていれば、利用者はもっといたはずだ」と振り返る。

デマンド交通の導入事例

和歌山県紀の川市では2025年1月、「紀の川デマンド乗合交通(のりのり交通)」を導入。固定のダイヤや運行ルートはなく、電話やスマートフォンアプリでの予約に基づきAIが最適なルートを定め、市内に約600か所の乗降ポイント間を柔軟に運行する。利用者登録は2025年3月までに約1400人に達した。

紀の川市交通政策課の担当者は「のりのり交通の導入で、広い市域を効率的にカバーできるようになった」と説明する。導入にはアプリ開発やコールセンター運営などの費用がかかるため、地域の実情を見極める必要がある。

今後の課題

和歌山市は2023年度、従来計画を改定して2024~2028年度の地域公共交通計画を策定。「地域の特性にあった持続可能な地域交通の確保に努める」として、住民が日常的に利用できる手段を模索する。

安原地区の人口は2006年10月に7949人だったが、2026年7月には8685人へ増加。新しい住宅も目立ち、近年は自家用車を持つ子育て世帯が流入しているが、長年地元に住む高齢者世帯も少なくない。公共交通に関心を持つ市議は「免許を返納した高齢者は孤立しがち。早く公共交通を整備しなければいけない」と指摘する。

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