広島県内で本格的な夏の到来に伴い、熱中症のリスクが高まっている。昨年は県内で2人が死亡し、職場での重篤な熱中症事例が過去最多を更新。今年も厳しい暑さが予想される中、自治体や企業が対策を急ぐとともに、体調管理や予防を呼びかけている。
昨年の搬送実態:7月に1000人超
消防庁のまとめによると、県内で昨年5~9月に熱中症で救急搬送された患者は2295人。6月から増え始め、ピークの7月には1000人を超えた。初診時の死者は2人で、入院が必要な中等症・重症患者も計971人に上った。
年齢別では65歳以上の高齢者が全体の64%を占め、全国平均より5ポイント以上高かった。体内の水分が不足しがちで、暑さに対する感覚機能が低下する高齢者は熱中症にかかりやすいとされ、特に注意が必要だ。
労災の急増:過去最多58人
県内で昨年顕著だったのが労働災害の多さだ。広島労働局によると、職場での熱中症で4日以上休業したり亡くなったりした労働者は、統計を取り始めた2010年以降で過去最多の58人(前年比35人増)に上り、建設業の1人が死亡した。就業中の発症が多いものの、帰宅後に体調が急変した事例もあり、労働局は「体調の異変に気づきながら、事業者の初期対応が遅れたケースが散見された」と指摘する。
重症化を防ぐため、昨年6月には労働安全衛生規則が改正された。事業者には熱中症の恐れがある労働者を早期に見つける体制整備などが義務づけられ、措置を怠れば6か月以下の拘禁刑または罰金が科される。
官民連携の取り組み
今年は搬送者数の減少や死亡者ゼロを目指し、官民連携の取り組みも進められている。備後圏域では、7市2町を含む約50企業・団体が協力するプロジェクトが発足。5月にキックオフ会議が開かれ、エアコンの積極使用と外出時の暑さ対策を呼びかける啓発ポスターの掲示や、危険な暑さから避難するための「クーリングシェルター」の設置などで合意した。県は全市町のシェルター一覧をホームページで公表している。
会議を主催した大塚製薬中国支店の担当者は「熱中症は予防できる病気であり、水分補給や暑さを避ける行動をとるなどして身を守ってほしい」と話した。



