岡山市内の公立小中学校で今年度に入り、施設の一部が落下する事案が相次いでいる。下校中の生徒にコンクリート片が当たる事故も発生し、市教育委員会が緊急点検を行った結果、32校で危険箇所が判明した。市教委は応急修繕を進めている。
1か月で5件発生、生徒に直撃する事故も
市教委によると、市立石井小(岡山市北区)では5月19日、3階渡り廊下の屋根裏部分の劣化したコンクリート片が落下し、駐車していた職員の車に当たり、フロントガラスに傷が入る事故が発生した。
また、6月10日午後2時20分ごろには、市立御南中(同)で、校舎北棟の軒下を下校途中の生徒が通った際、左肩に直径5センチほどのコンクリート片が落下して当たったとみられる事案が起きた。生徒は大けがには至らなかったが、校内施設の落下事案で児童や生徒が負傷するのは初めてだった。
このほか3件もほぼ同時期に発生し、1か月間で計5件となった。昨年4~6月の発生件数は3件だったことから、市教委学校施設課の幸勲治課長は「例年に比べても多いペース。生徒にけがを負わせる事故も起きたことは重く受け止めている」と話す。
背景に施設の老朽化、築40年以上が7割
落下事案が相次いだ背景には、施設の老朽化があるとみられる。公立小中学校は第2次ベビーブームに合わせて建築されたものが多く、近年では全国的に校舎などの老朽化が課題となっている。
市内には約500棟の校舎があり、その7割にあたる約350棟が築40年以上。落下事案が起きた5件も築年数47~54年の建物だった。
築40年以上のものは改修が必要なケースが多いが、予算面の問題もあり、改修できるのは年10校程度しかない。全てを改修しようとすると、単純計算でも35年近くかかり、間に合っていないのが実情だ。
このため、教員の見回りによる日常点検のほか、3年に1回の建築士による法定点検をもとに、優先順位を付けて改修している。2021~24年度では、劣化外壁の修繕など予防的改修を31校、内装や設備の更新なども行う長寿命化改修を3校で実施した。
ただ、日常点検は専門外の教員が授業の合間に行っているため、点検の精度にも限界がある。同課は「危険箇所を把握しきれていなかった。ペースを上げて把握や改修をしないといけない」と危機感を募らせる。
全124校を緊急調査、32校で危険箇所
事故の多発を受け、全124の市立学校の緊急調査を実施したところ、4分の1に相当する32校で危険な箇所が見つかった。
32校については現在、応急修繕を行っており、危険な箇所が見つからなかった残り92校についても再点検を行い、順次、必要な修繕を終える予定だ。幸課長は「対応は急務で、子どもたちが学校で安全安心に過ごせるよう、安全措置を講じていく」と話している。
学校建築の耐久性などに詳しい東京理科大の兼松学教授(コンクリート工学)は「予算面などから、建て直しや一気に改修するのは現実的ではないが、ひび割れなどの老朽化は徐々に進んでいく中で、数年で異動する教職員では変化に気づけず危険箇所を見落とす可能性もある。点検の記録を残し、危険の兆候を把握するシステム作りを今からでもしていくべきだ」としている。



