埋葬したネコの解剖依頼に秘められた飼い主の真意とグリーフケアの重要性
埋葬ネコの解剖依頼に秘められた飼い主の真意とグリーフケア

獣医病理医の元に、ある日「2週間前に土に埋めたネコを解剖してほしい」という女性からの電話がかかってきた。電話口から聞こえてくるその声には、切実な訴えが滲んでいた。この電話は9時半頃まで続き、数日後の年の瀬に、飼い主から3度目の電話があった。ネコをペット葬儀社で火葬し、その遺骨が自宅に戻ってきたというのだ。

飼い主が本当に求めていたもの

「ようやく踏ん切りがついて、あの子の死を受け入れることができました」と、飼い主は感謝の気持ちを伝えた。獣医病理医の仕事は、亡くなった動物の体を調べて死因を明らかにすることだが、病理解剖の相談に来る飼い主が本当に求めているのは、必ずしも解剖そのものではない。

「この子はなぜ死んだのでしょうか」と死因を尋ねながら、その奥では「もっと早く病気に気づいてあげられていれば」「自分はこの子に十分なことをしてやれたのか」と深く悩んでいることもある。そんなとき、獣医病理医は解剖に取りかかる前に、飼い主の話をよく聞く必要がある。

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ペットロスとグリーフケアの現状

大切な存在を失った悲しみや後悔に寄り添い、喪失と向き合う過程を支えることを「グリーフケア」という。人間の場合、死別の悲しみを抱える遺族を支える遺族会などがあるが、ペットを亡くした飼い主が思いを十分に話せる場はまだ多くない。

治療を担当した獣医師には話しにくいことでも、第三者である獣医病理医には話せることもある。今回のような相談を受けるなかで、「獣医病理医だからこそできるグリーフケアもあるのではないか」と感じている。

獣医病理医の新たな役割

ペットの死因を調べるだけでなく、残された飼い主がその死と向き合うことを支える。これから、獣医病理医としてそんな役割も担っていければと考えている。

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