野菜の祭典100年超の歴史に幕、石巻・旭町で最後の展示
野菜の祭典100年超の歴史に幕、石巻・旭町で最後の展示

宮城県石巻市旭町で100年以上続く夏の伝統行事「野菜仕掛け物祭」が23日に行われ、個性あふれる6作品が町内に並んだ。五穀豊穣をテーマに、船に野菜の人形を並べた作品も展示された。祭りは担い手の高齢化などで今年で休止となる。

最後の作品づくりに住民が集う

祭りでは町内の班ごとに作品が作られる。一区切りとなるこの日、住民は朝から準備を始めた。同町で生まれ育った主婦の高橋智恵子さん(85)の班は約10人が班員の自宅に集まり、熊本地震の被災地にエールを送るため、50本近いナスで熊本県のPRキャラクター「くまモン」を形作った。

「ネギは足りるかしら」「だんだん形が見えてきた」。会話を弾ませながらナスの実をくりぬいて皮を発泡スチロールに貼り付け、体を作った。目や耳には大根を付け、ネギで草原を表現した。作業に参加した最若手は41歳で、世代間で交流できるのも祭りならではだ。

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住民が語る祭りの魅力と惜別の思い

高橋さんは「みんなで買い物に行って、作りながらお茶のみして近況を話すのが楽しい」と語る。作り方やこだわりも各班で異なり、代々引き継がれてきた。「大変だけど、印象に残る祭り。私たち世代の役目は終わったのかなと思うとさみしい」と惜しんだ。

午後6時から、住宅が並ぶ町内約200メートルの範囲で、住宅玄関やテントに班ごとの力作が並べられた。銀河鉄道を表現した作品は、ナスで車体3両をつくり、レンコンの車輪を付けた。煙はトウモロコシのひげ、鉄道を見上げる人々はミョウガとオクラで作った。

100年の歴史と休止の背景

来場者は興味深く作品をのぞき込んだり、写真を撮ったりしていた。近くに住む団体職員の遠藤由子さん(64)は「発想力が豊かで、毎年楽しませてもらっている」と笑顔だった。

旭町はJR石巻駅から約1キロほどの住宅街で、麹店や駄菓子屋、居酒屋なども並ぶ。大正時代初期は農家が多く、豊作を願って祭りは始まった。家で採れた野菜を持ち寄って班ごとに動物や人、時事を題材にした作品を作り、終了後は材料をみんなで分けて食べてきた。

ただ、東日本大震災の直前は約350人だった旭町の住民は、今年7月末で260人まで減少し、高齢化も進んだ。農家も減って野菜はスーパーで買うようになり、最近は物価高の影響を受けた。さらに、夏の暑さも作業の障壁になった。

祭りの継続を検討するため、主催する町内会「旭町恒心会」では今年春、町内90世帯でアンケート調査を実施。回答者の9割以上が「中止または大幅な規模縮小もやむを得ない」と回答したことから、休止を決めた。

同会の日野雅晴会長(70)は「ああだこうだいいながら作業を一緒にすると、隣人の協力体制も生まれる。祭りはコミュニケーションの機会だった」と振り返る。「100年以上、みんなで守ってきた祭り。新たな担い手が出てきたときなど、環境が整ったら次の世代にバトンタッチして、また開きたい」と話した。

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